──外国メディア向けの囲み取材では、「去年のメルセデスよりパワーが出ている」とコメントしたと聞いています。現時点ではワクワクが、不安やドキドキを上回っているのでは?
田辺TD:ずっと現場で話を聞いてもらってますからご存知だと思いますが、いつもレース週末は不安に怯えてます(苦笑)。
──とはいえ去年に比べると、今年は自信が持ててるのでは?
田辺TD:う〜ん、先ほどの「メルセデスよりパワーが出ている」発言も、そんなこと言ったかなというのが正直なところです。我々はPUパフォーマンスの目標値を設定して、開発を重ねてきたわけです。去年のメルセデスのパフォーマンスから、今年はどれくらい伸ばしてくるかを推測してのターゲット設定をしました。それに対して今のところは、それなりにクリアしている。ということは(去年の)メルセデスよりパワーが出ているかなと、そんな文脈でコメントしました。
ただ重要なのは、今年のメルセデスがどれぐらいのレベルからスタートしているかで、今季追いつけ、追い越せという目標のなかで、少なくとも去年のメルセデスの数値をそれなりにクリアしているかと。

──今季はエキゾーストシステムが年間8基までという規約が加わっています。これはホンダの使用サイクルからすると、妥当な数字ですか。
田辺TD:FIAの分科会、これまでワーキンググループ、今はアドバイザリーコミッティと名称変更したんですが、そこで議論するなかで、この基数なら年間を通じて大丈夫だろうということになりました。エキゾーストは熱的に非常に厳しいパーツで、クラッシュで壊れたりもする。その場合、PUは大丈夫だけどエキゾーストパイプ(エキパイ)だけ交換しないといけないというケースも出てくる。それらも含めて、年間8基ならペナルティはおそらく受けずに、無駄に経費のかかる開発、主として軽量化ですが、それも防げるだろうと。ホンダとしては、この数字に不安はありません。
──ホンダ最終年に向けて、田辺さんの今の気持ちを改めて聞かせてください。
田辺TD:残された1年、これから戦う23戦、今までと同じように戦いながら学んでいく日々を過ごすのだと思います。史上最多の23戦ということは、レース間のインターバルも短くなる。戦闘力の向上や、何かあった場合の対応は、今まで以上に現場とファクトリーの緊密な協力関係が必要です。そのなかで何かやり残したという思いが出ることなく、できることはすべてやったという気持ちで、1戦1戦のレースに臨んでいきたいですね。そして最終戦が終わった時に、悔いのない気持ちでいることができればと思います。




