更新日: 2021.04.09 23:04
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第2回】“次に繋がるレース”を目指した開幕戦。ミックの能力と成長に嬉しい驚き
開幕戦を終えて、同じフェラーリ製パワーユニット(PU)を使うアルファロメオとのギャップは結構あるな、という印象です。ただ今回の開幕戦に関して言えば、アルファロメオに対してミックがいいペースで走れていた場面もありました。ですから、まだまだ差を詰められる可能性はあると考えています。
PUのパワーについてはデータにも出ていましたが、ある程度取り戻しています。ウチは特にレースに向けて強引にダウンフォースを削って直線スピードを稼ぐといったことはしていませんが、それでもストレートで大幅に遅れをとることもありませんでした。フェラーリの予選結果を見てもそうですよね。メルセデスとルノーとの差は縮まっていると思います。
他メーカーで言えば、やっぱりホンダが伸びているのではないかと思います。現状で一番能力のあるマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝を争えるというのは、F1にとってもいいことです。予選でもQ3では最初のアタックでふたりがほぼ同じタイムで、最後のフェルスタッペンのアタックはすごかった。土曜の夜サーキットを出る時に、田辺(豊治/ホンダF1テクニカルディレクター)さんに思わず「すごいですね」と声をかけてしまいました。
レースではハミルトンがアンダーカットを仕掛けてなんとか2ストップ戦略で勝ちましたけど、こういう戦いがシーズンを通して続けばファンの方々にとってもいいことですよね。できればそこにフェラーリのシャルル・ルクレールも加わることができれば最高なんですけど。
それからピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)も予選はよかったですね。ウチはアルファタウリと戦っているわけではないので、彼らのことはタイムしか見ていませんが、角田裕毅選手が初戦を9位で完走したというのは評価されてしかるべきだと思います。
あとはF1に復帰したフェルナンド(・アロンソ/アルピーヌ)も予選では頑張りましたね。彼は予選一発が速いタイプのドライバーではないけれど、他のドライバーがミスをするなか、アルピーヌをQ3までしっかりと持ち込んだのはさすがです。Q3で彼の無線を聞いていたのですが、アウトラップの早い段階で、落ち着いて何台もいる前のクルマとのギャップをうまく調整していました。フェルナンドだから当たり前のことですが、彼はやっぱり常に状況を俯瞰して把握することができるんですね。今回彼のレースをしっかりと見たわけではありませんが、今後が楽しみです。