28分間の赤旗中断後、9番手から再スタートしたハミルトンは先行車を次々に抜いていく。
メルセデス:きみが今、コース上最速だ
38周目には4番手を走っていたセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)が単独スピンを喫し、14番手に後退してしまう。
ペレス:ダメージはない
レッドブル・ホンダ:まだ24周ある。ポイントは獲れるぞ
気落ちした声のペレスを、エンジニアが必死に励ます。10番手だった角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)も、再スタート直後にスピン。必死の走りでペースを上げるものの、何度もターン9ではみ出していた。たまらずチームから注意が飛ぶ。

アルファタウリ:ユウキ、ターン9の境界を必ず守ってくれ。きっとだぞ
しかしその後もトラックリミットを何度も越えてしまい、55周目には5秒加算ペナルティ科されてしまう。
その間にもハミルトンは次々にオーバーテイクを繰り返し、50周目にはサインツをかわして3番手まで順位を回復した。
メルセデス:2番手のノリスはソフトだ。ペースは必ず落ちてくる
追われる立場のノリスに、マクラーレンは57周目に「1秒1」58周目には「0秒8」と、ハミルトンとのギャップだけを伝える。直後にノリスから、悲鳴に近い声が飛び込んできた。
ノリス:コーナリング中にクラッチが滑る! 全然トラクションが伝わらないよ
マクラーレン:ランド、きみが左のパドルを押してるんだ。
膝を保護するニーパッドが、クラッチパドルに触れることが原因だった。終盤60周目、ハミルトンはあっさりノリスを抜き去って行った。

ノリス:彼は速すぎる
メルセデス:ルイス、あと3周だ。最速ラップを狙おう
その声に応えたハミルトンは、最速ラップの1ポイントを手中にし、望外の2位でチェッカーを受けた。
メルセデス:素晴らしいリカバリーだった、凄いバトルで2位まで戻ってきたね
トト・ウォルフ代表:よくやった。選手権をリードしてるぞ
ハミルトン:本当にすまなかった。人生は学びだ。ここからまた戦っていく
