決勝レースでは、ミックはよくやってくれました。第1スティントでニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)に詰まっていた時も、タイヤをきちんと労わって無理をしませんでしたし、第2スティントではメルセデスPUのウイリアムズを抜くことがかなり困難でフラストレーションが溜まっていたにも関わらず、しっかりとプレッシャーをかけ続け、最後はラティフィのミスを誘いました。
またラティフィにアタックをかけながらも常に青旗を上手く処理しなければなりませんでしたが、これも上手くやりました。3戦目にして、とてもいいレースをしてくれたと思います。先にも書きましたが、彼の凄いところはスポンジのように物事を吸収してどんどん実行に移していくところです。一緒に仕事をしていてとても楽しいですし、大きな可能性を感じさせます。

一方ニキータですが、やはりまだミックと同じようなペースでは走れませんが、第1スティントはスムーズにまとめました。第2スティントでは青旗を掲示される回数が多くなることが目に見えていたので、それを避けるために再度ピットインしてソフトタイヤに履き替えました。この方が彼にとってもチームにとっても良い情報が得られると思ったからです。
ニキータがこの2度目のタイヤ交換を終えてピットアウトした際にペレスが2秒後ろにいたのですが、レースエンジニアからの指示が遅れ、3コーナーでペレスを妨害してしまいました。チームが正確な情報を的確なタイミングで与えなかったゆえに起こったことなので、ニキータ自身に非はありません。今回の彼は落ち着いて比較的安定したレースができていたと思います。次の課題は全体的なペースアップですね。

全体的に見て、ミディアムタイヤの保ちがよかったように見えるかもしれませんが、こちらとしては想定通りです。ミックは第1スティントでうまくタイヤを労わってはいたものの、ラティフィの後ろで詰まっていたのでやはり少し磨耗が進んでいました。32周目にピットインしましたが、タイヤだけの観点で言えば、もう少しいけたと思います。
しかしこの周はちょうどジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)とラティフィがセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)の青旗でタイムを落としていたところで、ピットインすればこのウイリアムズの2台の前に出られるチャンスだったのでミックをピットに入れました。作業もうまくいき、ギリギリでしたがウイリアムズの2台を逆転して、彼らの前でコースに戻りました。ハードタイヤの温まりがいまいちで、残念ながらすぐに抜き返されてしまいましたが、これが最善策だったと考えています。
ニキータをその前の31周目でピットインさせたのは、レースリーダーのルイス・ハミルトン(メルセデス)が迫ってきていたからです。青旗を振られる前にピットインしてタイムロスを防ごうと思っていたのですが……。今年のクルマの競争力では、どうしても青旗対策が戦略の一部になるのでこのあたりをうまく活かさないといけないです。
次は連戦でバルセロナです。ここでも確実に次のステップをふんでいきたいと思います。
