更新日: 2021.05.18 06:16
英国人ライターのF1ルーキーペア観察日記:実力でウイリアムズに勝ったシューマッハー。試練に耐えるマゼピンに不当な非難も
次のスペインの舞台は、ルーキーふたりにとって、多少は経験のあるバルセロナ・サーキットだった。また、ハースは例年このサーキットを得意としていたため、ある程度の期待を抱いて週末を迎えた。金曜プラクティス1回目では開始2分でマゼピンがスピン、上々のスタートとはいえず、全体的なペースもよくなかった。シュタイナー代表の言うとおり、予選に向けてやるべきことは多いものと思われた。
だが土曜日、チームもドライバーふたりも大きく進歩した。ふたりはマシンの感触が向上したと感じており、シューマッハーはプッシュして走れるようになってきていた。経験あるトラックで自信を持って走り、シューマッハーはラティフィに予選で勝った。ハースが今年初めて予選でウイリアムズに勝ったのだ。
シュタイナーがルーキーふたりに望んでいるのは、とにかくたくさんの周回を走り、経験を積み重ねることだったが、今回はレースでシューマッハーがウイリアムズの前を維持できるのではないかと期待をかけていた。だがそれはかなわなかった。決勝ではウイリアムズの方が圧倒的に強かったのだ。
マゼピンはスペインでとても不運だった。まず、予選でランド・ノリスを妨害したとして厳しいペナルティを受けた。最終シケインでひどいトラフィックにつかまった時、後ろから来たノリスがロスするのを防ぐ最善の方法だと考えて、加速してアタックラップに入ることを決めた。しかしスチュワードは、難しい状況だったと認めつつも、もっと前の段階からうまく行動すべきだったとしてペナルティを科した。
決勝では、メルセデス代表トト・ウォルフにルイス・ハミルトンを抑えつけていると非難された。それは全く不当な主張だったと思う。
ウォルフが無線でレースコントロールに対して不満を言った時には、ブルーフラッグは1回しか示されておらず、マゼピンはその後、規則に従って譲っている。
このようにマゼピンにとっては不運な出来事がいくつかあったものの、スペインの週末を通して貴重な経験を積むことができた。この2戦でルーキーふたりが進歩したのは間違いなさそうだ。
シュタイナーは、次のモナコでハースのマシンが強さを発揮するのは難しいと考えている。ストリートサーキットに必要なダウンフォースが欠けているためだ。そのため、重要なのはできるだけクリーンな週末を過ごすことであり、マゼピンには絶対クラッシュするなと注意したということだ。