19台がピットレーンで再スタートを待つなか、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表がレースディレクターのマイケル・マシを呼び出した。
ホーナー:マイケル、ちょっといいかな
マシ:ああ。大丈夫だよ
ホーナー:あのコーナーだけど、ここを走ったことのあるドライバーなら誰でも、イン側からホイールをねじ込んだりしない。ひどい大事故だ。あそこは完全に、マックスのコーナーだったんだ。私に言わせれば、100%ルイスが悪い。あの位置にいるべきじゃなかった。大惨事になっていたところだ。(マックスが)歩いて出てきたのは、神に感謝だよ。きみなら適切な判断をしてくれるよね
マシ:了解した。でも審議しているのはスチュワードだからね
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— Formula 1 (@F1) July 19, 2021
話すうちに、だんだん熱くなっていくホーナー代表。しかし審議をして裁定を下すのはレーススチュワードたちであり、マシではない。だがレッドブル陣営はそんなことはおかまいなしで、チームマネジャーのジョナサン・ウィートリーまで割り込んできた。
ウィートリー:録画を何度も見たところだけど、ルイスは明らかに近寄りすぎて、クロスを仕掛けてる
マシ:あなたの見解は、完全に了解した。でもスチュワードが審議しているからね
するとメルセデスのトト・ウォルフ代表も、マシに呼びかけた。
ウォルフ:マイケル、トトだ
マシ:どうぞ
ウォルフ:さっきメールを送ったのだが、2台の位置関係を図示してみた。受け取っているかい?
マシ:いや、レース中メールは見ないことにしている。レースに集中したいからね
ウォルフ:そっちに行くよ
マシ:ああ。いいけど、直接スチュワードのところに行ってくれ
お互いに、相手に1ポイントも余計にあげたくない。そんな必死さが伝わってくるやりとりだった。ウォルフはその後スチュワードと話をしたようで、ホーナーは「審議中のスチュワードに影響を与えるようなロビー活動は禁止すべき」と、さらに怒っていた。
そして現地時間午後3時41分、セーフティカー先導でレースが再開された。先頭のルクレールが、文句を言い出した。
ルクレール:セーフティカーは何をやっているんだ? もっと速く走らないと
担当エンジニア、マルコス・パドロスの返答は入っていないが、「グリッドからのスタンディングスタートだから問題ない」と答えたはず。久しぶりの首位走行で、ルクレールはナーバスになっていたのかもしれない。

それでも再スタートでは、首位を守ることに成功した。1秒余り後方でオーバーテイクの機会を窺うハミルトンに、ボニントンが指示を出した。
ボノ:もっとプッシュして行こう。今朝とは状況が変わった。10秒ペナルティを受けた
その2周後、ハミルトンが戦略の確認を求めた。一方パドロスはルクレールに、戦略変更を伝えていた。
ハミルトン:同じ戦略か?
ボノ:そうだ
パドロス(→ルクレール):プランBで行く。プランBだ
1回ストップの基本戦略は変えずに、最初のスティントを延ばすということだったようだ。

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(2)に続く