18番手と19番手から日曜決勝をスタート。シューマッハーが優位に進めるかのように思われたが、マゼピンはスプリント予選からいくつかアイデアを得ていた。乗りづらいハースのマシンが、燃料が重い時には幾分ましで、マゼピンはファーストスティントをうまく走ったことで、最終的にチームメイトの上に立つことができたのだ。
「他の週末ほどマシンを大きく変更することはできなかったが、週末の早い段階でとてもいいセットアップを見つけ出した。それは予選ではベストではなかったかもしれないが、デグラデーションが進むなかではとてもうまく機能した」とマゼピンは明かした。

シューマッハーはファーストスティントで慎重にいきすぎて、マシンのポテンシャルをマゼピンのようにフルで生かすことができなかったと認めている。
「簡単ではなかった」とシューマッハーは言う。
「タイヤで苦しみ、自分たちがとったアプローチがうまくいかなかった。ここから学習し、ブダペストにはもっと強くなって戻ってきたい」
「僕たちは、最初の数周、タイヤをオーバーヒートさせないように心がけた。ニキータの方が序盤数周は少しハード気味にプッシュしていて、それでもタイヤをウインドウ内にとどめることができた。なぜそうなったのか、どうやればよかったのかを、これから分析する。僕にはもっと速く走れる余地がたっぷりあったということだからね」
ここまでシューマッハーがアドバンテージを持ってやってきたが、シルバーストンではマゼピンのパフォーマンスが改善し、いい兆候が見られた。それによって、シューマッハーは次のハンガリーまでに研究すべきことがたくさんできた。

シューマッハーはマゼピンから学ぶだけでなく、決勝中に、セバスチャン・ベッテルの走りからも学習しようとしていた。ベッテルはレース序盤にスピンして後方にポジションを落とした。シューマッハーはベッテルと本格的に戦えたわけではないが、ベッテルのレースを間近に見る機会を得て、できるだけ多くの周回を彼のすぐ後ろで走ろうとしたという。
今のハースには、他のチームと戦うことは現実的には難しい。そのため、チームメイトのふたりが互いにプッシュし合って向上していくしかない。それがチーム自体のパフォーマンス向上につながっていく。今年のハースが望んでいるのはまさにそのことだ。シルバーストンでは、それが実現できたといえるだろう。