取材・まとめ 柴田久仁夫

──レース前にフェルスタッペン車のパワーユニット交換が発表されました。予選終了後に異常が見つかったとのことですが、経緯を教えてください。

田辺TD:予選後にクルマが戻ってきて、カウルを開けてカバーを外してチェックした際に(異常を)発見しました。予選前にも、もちろん同じ箇所は確認していますが、その際には異常はありませんでした。しかし帰ってきたときにはクラック(ひび)が入っていてオイルが滲み出していました。データ上も、コース上のパフォーマンスもまったく影響は出ていません。しかし、この状態のままレースまで使い続けるのは危険だろうと判断し、交換を決めました。

──イギリスGPでのクラッシュで車体は全損したなかで、パワーユニットは無傷と見られていたのが、結果的にそうではなかったということですね。

田辺TD:はい。FIAによって封印されたものはバラすことができないなか、できるだけの確認をしました。特に衝撃のかかるギヤボックスや車体との締結点は念入りに調べました。とはいえ外観からの確認、そしてファイバースコープで覗ける範囲での確認に限られ、そこでは大丈夫でした。しかし、最も衝撃のかかったところに、やはり異常が出たということです。

──このクラックの入ったパワーユニットは今後どうするのでしょうか?

田辺TD:まだわかっていません。HRDさくらに送り再度チェックをしてダメージの進展具合を見ることになります。外から修復可能なのかを検討し、この先使用可能かどうかも含めて決めたいと思います。ただ、かなり厳しいかなという感触はあります。

──2回のフリー走行後のチェックでも発見されなかった異常が予選後に出たということは、やはり予選走行時のかなり負荷の高い使い方に耐えられずにダメージが酷くなったということですか? また、こういったトラブルの出方はかなり珍しいのでしょうか?

田辺TD:それまで壊れなかったものが予選で壊れた例というのはこれまでもありましたが、だからといって予選だから壊れたということではありません。

 今回も、初日に走行し異常がなかったので予選以降の継続使用を決めたわけですが、以前も言ったように全部をバラして確認したわけではないので、中に何が潜んでいるかはわかりません。ボディブローのように(ダメージが)効いてくる恐れは常にありました。しかし、こんな早くにそれが出るとは思わなかった、というのが正直なところです。

2021年F1第11戦ハンガリーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)&ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第11戦ハンガリーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)&ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

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