更新日: 2021.08.18 18:12
【F1第11戦無線レビュー(2)】「このアウトラップが勝負を決めるぞ」首位を守るべくエンジニアがオコンへ発破
ボニントンが言う通り、36周目に2番手ベッテルがアンダーカットを狙う。しかしタイヤ交換にやや手間取ったこともあって、37周目にピットインしたオコンはベッテルを僅差で抑えて、コース復帰に成功する。
ペケット:素晴らしい。このアウトラップが勝負を決めるぞ


ベッテルの猛追をしのいで、オコンは首位をキープした。一方、12番手のフェルスタッペンは、すぐ前のリカルドを抜きあぐねていた。
ランビアーゼ:マシンバランスをレポートしてくれるかな
フェルスタッペン:バランスどうこうじゃないね。壊れてるんだから。オーバーステアとアンダーステアが交互に来てる
3番手を走るサインツ陣営は、背後のハミルトンが気になってしょうがない。
サインツ:(ハミルトンは)もう1回ピットインするんじゃないかな
アダミ:そうするとアロンソの後ろになる。ステイアウトで最後まで行くにちがいない
いったんは、「タイヤがちょっと良くなっている」と言っていたハミルトンだったが、ライバルたちを撹乱させる無線だったのか、47周目にミディアムタイヤに交換。これでフェルナンド・アロンソの背後、5番手に後退した。
ハミルトン:今は何番手? あと何台抜けばいいんだ?
ボノ:あと4台だ。そうすれば優勝だ。オコンは25秒前で、ラップペースは22秒8だ
ハミルトン:4台もかい?
ここでトト・ウォルフ代表が割り込んできた。
ウォルフ:ルイス、勝てるぞ
しかしその前に、アロンソという高い壁が立ちはだかる。ハミルトンはアロンソに激しいバトルを仕掛ける。しかしアロンソが老獪さを存分に発揮し、なかなか抜かせない。はるかにペースに勝るハミルトンを10周にわたってガードし続けた。
ハミルトン:もっとパワーが必要だ
63周目の攻防では、ハミルトンが思わずこんなことを口走った。
ハミルトン:見ただろう? 僕の前に入ってきた!
ボノ:見たよ、ルイス
ハミルトン:あのスピードだと、ものすごく危ない
しかしさすがのアロンソも65周目のターン1でミスをし、オーバーテイクを許してしまう。だがここまで身体を張って猛攻をしのいだことで、ハミルトンが首位オコンに追いつくのはほぼ絶望的になった。
オコンはベッテルの猛攻もしのぎ、初優勝を果たした。
ベッテル:何度も何度もトライした。レース中、ずっとね。後ろについていくのは、本当にキツかったよ。みんな、申し訳ない。
ベッテル:レース中、僕の方がずっとペースは速かった。でもエステバンは、一度もミスしなかった。初優勝にふさわしいよ
オコン:なんて言ったらいいんだ! ルノーが復帰して初めての勝利だ。フェルナンドにもおめでとうと言いたい。この勝利は彼のおかげだよ
フランスのチームでフランス人ドライバーが優勝したのは、1983年オーストリアGPでのルノーのアラン・プロスト以来の快挙となった。