更新日: 2021.08.12 11:03
英国人ライターのF1ルーキーペア観察日記:代表の怒りを買ったシューマッハーがレースで信頼回復
予選でマゼピンは堅実な走りをした。最下位でQ1敗退とはなったが、決勝に向けては、チームメイトよりも期待できそうに思われた。だが残念ながら、彼のレースはあっという間に終わってしまった。
決勝1周目の大混乱のなかで、シューマッハーは10番手までポジションを上げたのに対し、マゼピンはその4つ下の位置にとどまった。さらに、再スタートに向けてほぼ全員がインターミディエイトタイヤからスリックへと交換するためにピットに戻った際に、マゼピンは事故に巻き込まれた。ピットレーンでキミ・ライコネンにヒットされ、一切自分に非がないアクシデントによって、マゼピンはリタイアしなければならなかったのだ。
「本当に腹立たしい。このレースは絶対に走りたかった」とマゼピンは語った。
「僕に限ったことではないけれど、今回のレースにはたくさんのチャンスがあった。僕のチームが本当に必要としていたチャンスだ」
「こんな形でサマーブレイクを迎えるのは本意ではない。周回できず、結果を出せないまま、疲れ果てた状態で週末を終えるなんて、すごく腹立たしいよ」
マゼピンが憤っている時、シューマッハーは、なんとか名誉を回復しようと頑張っていた。1周目を非常にうまく走った結果、10番手に上がり、ルイス・ハミルトンとメルセデスが戦略ミスを犯したおかげで、すぐに9番手に繰り上がった。シューマッハーは、ハミルトンやマックス・フェルスタッペンから追われる立場になった。見せ場を作るチャンスが訪れたのだ。
シューマッハーはフェルスタッペンを10周にわたって抑えきり、ハミルトン、ダニエル・リカルド、ジョージ・ラッセルに対しても、簡単にポジションを失うことはなかった。その強力なディフェンスに、F1関係者の多くが感銘を受けた。ハースのマシンにはポイント圏内にとどまれる速さはなかった。それでもシューマッハーはF1のなかでも特に優れたドライバーたちからプレッシャーをかけられながら、レーステクニックを駆使して対抗したのだ。彼にとって貴重な経験になったことだろう。
F1界はサマーブレイクを迎えた。休息をとると同時に、シーズン前半を分析し、学習すべきことを理解する期間でもある。シュタイナー代表は、ドライバーたちが大きな出費を伴うミスを犯した場合、彼らがそれを通して確実に改善することを期待している。来年に向けたふたりの去就に関しては、今後数カ月のうちに決定されることになるだろう。