その後は多くの同僚ドライバーが、ライコネンについてコメントした。フェラーリ時代にチームメイトだったセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)と、「10年もいっしょにいるのに、いまだにキミのことがよくわからない」というダニエル・リカルド(マクラーレン)の言葉を紹介しよう。
──ドライバーとしてのライコネンの一番の強みは?
ベッテル:マシン限界を見極めるのがとにかく早かった。そしてコンディション変化に対応する能力も、群を抜いてたよ。あれだけ長い間第一線で戦えたのは、まさにそれゆえだったと思う。
リカルド:キミに限らず誰かが現役引退するというニュースを聞くと、僕はいつも「本当によかったね」と言ってあげたくなる。どんな状況にせよ、F1キャリアを無事に過ごし、次のステップに進もうと自分自身で決断したわけだからね。僕が最初にキミを知ったのは、まだ僕がレースを始めて間もない頃だった。若かったキミは、とにかく速かった。マシンに乗り込んで、1周目からとんでもない速さを発揮するドライバーだった。2年間ラリーに行って、そこからカムバックして再び優勝争いに絡んできたのも凄いことだ。

──キミがいなくなって、寂しくなるであろうことは?
ベッテル:沈黙、かな(笑)。
リカルド:本当にそう思う(笑)。あれだけ口数が少なくて、なのにその沈黙のなかで多くのことを雄弁に語っていた。そして長い間ずっと、最も人気のあるF1ドライバーのひとりだった。もう10年くらい、キミと一緒にレースをしているけど、でも彼のことはいまだによくわかってない。本当に不思議な人だよ。