──山本さんはシーズン開幕前に、タイトルを獲るには負けないための戦略ではなく勝つ戦略が重要だと強調していたと思いますが、今週末の決定は積極的な作戦だと思っていいですか。
山本MD:(ヘルムート・)マルコ(モータースポーツアドバイザー)と話をしていて、個人的には4基目(を投入するタイミング)はロシアがいいなと思っていたので、戦略的には満足しています。

──その理由は?
山本MD:理由は、このソチ・オートドロームは抜けないサーキットではないからです。マックスだったら、最後尾からでもある程度オーバーテイクして上がってこれる。5番手以内には上がってくるだろうと思っていました。マックス本人は金曜の段階では「抜くのは大変だよ」と言っていたけど、終わってみれば2位だったし、ここで4基目を入れてよかったと思います。
──このロシアGPでは2022年に投入する予定だったES(エナジーストア)を後半戦から投入していたことを発表しました。
山本MD:それに関しては研究所のメンバーに感謝してます。本当にありがとうと言いたい。前倒ししてくれたのは、ホンダの全員が最終年にチャンピオンシップを賭けて最後まで戦っていくぞという証だと思っています。アドバンテージがあるのなら、可能な限り投入していくのはレースでは必要なことだと思っているので、研究所のみなさんに感謝しかありません。
──マクラーレンはこのロシアGPでも前戦イタリアGPに続いて、レースを引っ張っていました。これからチャンピオンシップは終盤戦に入っていきますが、タイトル争いの鍵はマクラーレンが握っているのかもしれませんね。
山本MD:確かに今日もルイスはなかなか(ダニエル・)リカルドを抜けなかったし、本当におもしろい位置にいますね。
──それにしても、ランド・ノリス(マクラーレン)にとっては厳しい結末となりました。
山本MD:初優勝を目指してトップを走っていて、あの状況で真っ先に(ピットに)入るというのは難しい。ゆくゆく勝っていくドライバーなのでいい経験だと思いますよ。そちらのほうはともかく、ガスリーがいい流れだったのに、結果的にチグハグな感じになってもったいなかったかなと思います。
