上位2台のペースについて行けないラッセルは、5周目には早くもノリスに6秒近い差をつけられていた。1〜2秒の間隔でサインツを追うノリス。しかし早くもグリップ不足を訴え始めた。
ノリス:リヤタイヤが厳しい!
一方9番手のエステバン・オコン(アルピーヌ)は、ラッセルを先頭とするDRSトレインの真っ只中にいたものの、先行車の乱流をさほど気にしてないようだった。
ジョシュ・ペケット:前の5台はラッセルに捕まっている。タイヤはどうだ?
オコン:問題ないよ
序盤7周目前後、サインツの担当エンジニア、アダミが指示を出した。
アダミ:プランA+3で行く
ピットインのタイミングを3周遅らせようということか。しかしこの頃からサインツはグレイニング(ささくれ摩耗)に苦しみ、ノリスとの差はあっという間に1秒以内に縮まってしまった。

トム・スタラード(→リカルド):ダニエル、プランBに変えるかもしれない
リカルドの担当エンジニア、スタラードのいう「プランB」とは、2ストップを指すのか。彼らも予想以上にタイヤが保たないことに気づき始めたようだった。それは、ハミルトンも同様だった。
ハミルトン:左フロントにグレイニングができている
11番手まで上がっていたフェルスタッペンがシャルル・ルクレール(フェラーリ)に仕掛けるが、ルクレールに進路を塞がれる。中継映像ではぎりぎり接触していないように見えたが、フェルスタッペンはウイングを踏まれたと感じたようだ。
フェルスタッペン:フロントウイングは大丈夫か? チェックしてくれ!
ランビアーゼ:わかった
幸いダメージはなかったようで、すぐにルクレールをかわしたフェルスタッペンはセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)も抜き去って、15周目には6番手まで順位を上げた。ハミルトンは、わずか3台前。完全に射程距離圏内だ。
10周目前後、首位サインツを追うノリスが、「左フロントが完全に終わっちゃった」と訴える。前日の雨で路面のラバーが完全に流れたことで、タイヤの保ちは予想以上に悪くなっているようだった。
13周目に3番手ラッセル、そして14周目に首位サインツもピットに向かった。しかしノリスは踏ん張った。2回ストップを示唆していたリカルドもステイアウトしたことで、前戦イタリアGPに続いてマクラーレンが再び1-2体制を構築した。
その後のノリスは、序盤にあれだけ苦しんだことがウソのように、ペースが上がっていった。
ノリス:路面が良くなったことで、デグラデーションを隠してくれてるみたいだ

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(2)に続く