先行車や自らのマシンが上げる水しぶきで、ニキータ・マゼピン(ハース)は後方視界の悪さを訴えた。
マゼピン:ミラーが全然見えない。誰か迫って来てたら教えてくれ
小松礼雄エンジニア:ミックが近づいてる

ハミルトンは5番手セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)を追うが、12周目以降インターミディエイトの劣化を訴え始めた。
ハミルトン:路面はまだ全然ウエットだ。でもタイヤはだいぶ落ちている
ハミルトン:右のイン側の溝がなくなっている。他に誰かタイヤの文句を言ってる?
ボニントン:言ってるよ
20周目、トム・スタラードがダニエル・リカルド(マクラーレン)にタイヤの様子を尋ねた。
スタラード:新しいインターにしたら、どれくらい速く走れそう?
リカルド:それなりかな
リカルドはその直後にピットイン。真っ先に新品インターに履き替えた。しかしペースが思ったほど伸びない。マルコス・パドロスがシャルル・ルクレールに、こう伝えた。

パドロス(→ルクレール):新しいインターは遅いぞ
リカルドのペースを見て、多くのドライバーがそのまま走り続けることを選択した。
リカルド・ムスコーニ:ペースはいいから、このまま長く行くぞ
ボッタス:溝はほとんどなくなってるけどね
それでも中盤にはさすがにタイヤも限界を迎え、34周目のノリスを皮切りにドライバーたちは次々に新品インターに履き替えた。そんななか、ベッテル陣営だけは違う判断を下した。

クリス・クローニン:そろそろピットに向かうぞ。ハード、いや、ソフトで行くか
ベッテル:ミディアムだ。それで行こう!
ライバルたちが全車インターに履き替えるなか、36周目にピットインしたベッテルだけはミディアムを選択した。しかしレース復帰してすぐに立て続けにコースオフ。スリックでは運転不能なことを思い知ることになる。
ベッテル:全然だめだ
クローニン:わかった
たまらず次の周に再度ピットインしたベッテルは、19番手まで後退してしまった。
────────────────────
(2)に続く