これでハミルトンは3番手に浮上した。
ボニントン:タイヤ状態をアップデートしてくれ
ハミルトン:リヤが滑ってる。でも大丈夫だ!
吐き捨てるような口調のハミルトン。限界に来たタイヤをなんとか持たせようと、悪戦苦闘している感じだ。49周目、ボニントンからピットインの指示が出た。
ボニントン:OKルイス、今ピットインだ。ガスリーとギャップを築く最後のチャンスだ
ハミルトン:確かなのか? わかった

50周目にピットインしたハミルトンは、ルクレールの4秒後ろ、ガスリーの3秒前の5番手でコース復帰した。その順位とギャップを聞いたハミルトンは、すぐに不平を漏らした。
ボニントン:ガスリーは3秒後方だ
ハミルトン:くそ! 何であのペースを捨てたんだ?
ボニントン:いずれにしても、順位を落としてた
タイヤ交換後3周ほど走ったハミルトンは、グレイニングが出てペースが伸びない。
ハミルトン:今、何位なんだ?
ボニントン:P5だ
ハミルトン:ひどいグレイニングだ。言っただろう!
ボニントン:わかったよ、ルイス。(ピットイン前)ペレスとの差は、詰められてたんだけどね。でもそれについては、あとで話そう
レース終盤にはガスリーに1秒前後まで迫られ、5番手キープも危うい状況だった。
ボニントン:ガスリーが1秒後ろだ
ハミルトン:ほっといてくれ!

思わずキレるハミルトン。それでもなんとか5位で滑り込んだ。今季ここまで一度も勝てずに来たボッタスが、終始危なげないレース運びで待望の1勝を挙げた。
リカルド・ムスコーニ:圧倒的なパフォーマンスだったぞ
ボッタス:ははは! やったぞ!
レッドブルはフェルスタッペン2位、ペレス3位のダブル表彰台。ペレスにとっては6月のフランスGP以来、実に10戦ぶりの表彰台となった。
ヒュー・バード:チェコ、表彰台に復帰したぞ。表彰台だ
ペレス:長かったよ
クリスチャン・ホーナー:表彰台に行けると、言った通りだっただろ
ボニントンは5位入賞のハミルトンの労をねぎらいつつ、「無線で話したことを、もう一度話そう」と、あらためて伝えていた。今回はいつも以上に緊迫したやり取りだったが、こんなふうにレース後にじっくり話し合うことで、ふたりの強い信頼関係は保たれているのだろう。