ハミルトンはこれまでアメリカGPを6度制しているだけでなく、インディアナポリスとCOTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)の両方で勝っている唯一のドライバーでもある。そして彼の強いアメリカ愛は誰もが知るところであり、一方でハミルトンはこの国だけでなくメキシコでも大人気だ。
ハミルトン:とにかくオースティンは町も美しいし、サーキット自体もファンの応援も最高だ。何もかもが素晴らしいよ。2年ぶりの、しかも観客を入れての開催が、本当に待ち遠しかったよ。
そんな大好きな国なのだから、部屋に閉じ込められるぐらいなんでもないというところか。アメリカでは来年フロリダでふたつ目のグランプリが予定され、さらに2023年にはラスベガスGP復活の噂もある。もちろんハミルトンは、これにも肯定的だった。
ハミルトン:これだけ大きな国なんだから、レースが1回だけというのは明らかに少なすぎるからね。

ここでイギリス人ジャーナリストから、ちょっと微妙な質問がハミルトンに飛んだ。
──フェラーリ移籍後のこの3年間のルクレールを、あなたはどう評価していますか。フェラーリが彼を獲得したことは、本当に正解だったのだろうか。
字面だけ見ると、すごく辛辣な質問に思えるかもしれない。しかしルクレールがここまで挙げてきた実績からすれば、ハミルトンが厳しい評価をするはずもない。笑顔をルクレールに向けて、「どんなふうに答えたらいい?」と尋ねるハミルトン。「正直に言ってよ」と、ルクレールも笑いながら返した。
ハミルトン:シャルルのこの3年間の進化は、本当に見応えがあったよ。フェラーリという偉大なチームで、リーダーを任されてね。もちろん難しい時期もあったけど、そのことでシャルルはいっそう強くなった。何より彼はまだ若い。さらに進化を重ねていくだろうね。
フェラーリで着々とF1キャリアを築いているルクレール。一方のハミルトンは最近のインタビューで、「フェラーリで走ることは、全ドライバーの夢だ。でも僕には、そんな話はなかった。なぜかわからないけどね」と語っている。
一方で元チーム代表だったステファノ・ドメニカリは、「ルイス獲得を議論したことはある」と答えている。それはどこまで具体的なものだったのか。もしハミルトンがメルセデスの代わりにフェラーリに移籍していたら、今のような栄光は手にしていなかった可能性は高い。しかしそれでも彼は、ドライバーとして十分に幸せだっただろうか。
