更新日: 2021.10.29 21:04
【F1第17戦無線レビュー(1)】「早く順位を返して。何を調査してるんだ!」コース外からの追い抜きにアロンソが不満
11周目の時点で、首位ハミルトンと2番手ペレスの差は5秒余り。ペレスがアンダーカットを狙って12周目にピットインしたことで、ハミルトンも次周にピットに向かわざるをえなかった。これでフェルスタッペンが首位に立った。
直後の14周目、すぐ前を走る角田を追い立てていたピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)が、緊急にピットに入っていった。
ガスリー:問題がある。マシン後方だ
ピエール・アムラン:リヤサスペンションだ。ボックスだ
ガスリーはそのままリタイア。アルファタウリの期待は、角田ひとりにかかることになった。
エスケープゾーンが広く、ほとんどがアスファルト舗装されているCOTAでは、コースからはみ出しながらのオーバーテイクが頻発した。
リカルド・アダミ:レースディレクターから指示が来た。1周目のターン12の追い抜きで、ランドに順位を戻さないといけない
カルロス・サインツ:いやだよ。ターン16でリカルドに譲ってるし
結局、順位の変更はなく、カルロス・サインツ(フェラーリ)へのお咎めもなかった。一方16周目のキミ・ライコネン(アルファロメオ)とのバトルでは、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)があからさまな不平を漏らした。
アロンソ:ライコネンがターン1でアウトから抜いて行った。ポジションを返してほしい
しかしそれから2周経っても、チームから返事はない。
アロンソ:早く順位を返してくれ。何を調査してるんだ!
カレル・ルース:今、見てるところだ
アロンソ:何も見ることなんてないだろう!
しかしライコネンのオーバーテイクは問題ないとされ、アロンソの順位挽回はかなわなかった。すると今度はライコネンのチームメイト、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)を20周目のターン12でオーバーテイク。しかし大きくコースオフしてしまう。
アロンソ:よし、やったね!
アロンソは大満足だが、抜かれたジョビナッツィはあからさまな不満を漏らした。
ジョビナッツィ:おいおい、なんだよ、あれは!
アルピーヌのスポーティングディレクター、アラン・パーマメインだろうか、FIAのマイケル・マシとこんなやりとりを交わしていた。
パーメイン:マイケル、アウト側から行ったんだったら、コースオフしながら抜くのはいいよね?
マシ:いや、コース外での追い抜きはできない
アルピーヌ:でもライコネンは、それをやったんだよ
マシ:わかった
アルピーヌ:じゃあ、いいんだね?
マシ:いや、だめだ
アルピーヌ:ライコネンにはいいのか?
マシ:いや、誰でもダメだ
それを受けてチームはアロンソに、順位を譲れと指示した。
ルース:ジョビナッツィに順位を譲るんだ。でないと、5秒ペナルティを受けてしまう
渋々順位を下げたアロンソ。しかしこれであきらめるはずもなく、ジョビナッツィに果敢に仕掛けていく。24周目にはターン12でインを刺して前に出かけたが、ジョビナッツィはアウト側にはみ出しながら11番手を死守した。しかし今度はジョビナッツィに非があると判断された。
ベッカー:順位をもどすんだ
ジョビナッツィ:あいつが僕を押し出したんだ
ベッカー:いいから戻すんだ
今回のレースは特に、コースをはみ出してのオーバーテイクについて、微妙な判定が多いように思えた。エスケープゾーンがグラベルだったら、ドライバーたちもコースから出ることなく、オーバーテイクを仕掛けるのだろうが。
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(2)に続く