その後方では、リカルドとサインツの攻防も熾烈さを増していた。40周目にDRS圏内に入ったサインツは、43周目のターン13〜14でリカルドに仕掛けるが、アウト側に押し出されながら接触、フロントウイング右翼端板にダメージを負ってしまう。
サインツ:ちょっと汚い。あれはわざとだよね
リカルド・アダミ:報告しておくよ
レース終盤、ハミルトンの方が明らかにペースがいい。フェルスタッペンは、じりじりと詰められている。
フェルスタッペン:ペースデルタ(2台のペース差)はどれくらいなんだ?
ランビアーゼ:それはあまり重要じゃない。DRSに入られた時、リヤタイヤがどれくらい残ってるかだ
ハミルトン:彼はまだかなり速い!
ボニントン:序盤に十分にタイヤを持たせる走りをしていたからね
なかなかフェルスタッペンに追いつけないことに、ハミルトンが焦りだす。それでも両者の差は50周目には2秒を切った。
フェルスタッペン:あと何周だ
ランビアーゼ:6周だ

必死に逃げるフェルスタッペンだが、周回遅れのミック・シューマッハー(ハース)を抜きあぐねる。
フェルスタッペン:あのハースをどかしてくれ。マイケル(・マシ/FIAレースディレクター)に話してくれ!
ランビアーゼ:連絡している
最終周のターン1で、ついに両者の差は1秒を切った。しかしシューマッハーが前にいたことでフェルスタッペンはDRSを使うことができ、セクター1で最速タイムを叩き出した。これでハミルトンとの差を1秒以上まで広げ、1.333秒差で辛くも逃げ切った。
チェッカー後、アメリカGP初優勝に歓喜の声をあげるフェルスタッペン。しかしチームの取った戦略はかなりリスクもあっただけに、疑問の声を上げていた。
ランビアーゼ:最後の3周のドライブは凄かった。
フェルスタッペン:高速区間は、かなり手こずったけどね。なんとか切り抜けたよ
クリスチャン・ホーナー:向こうは8周も新しいタイヤだったんだ
フェルスタッペン:戦略はちょっとアグレッシブすぎたと思うけど
ボニントン:今日は十分速くなかった。でも素晴らしいドライブだったぞ
ウォルフ代表:素晴らしい、本当に素晴らしかった。最後の結果は、望むものじゃなかったけどね
水分補給をまったくせずに1時間30分のレースを戦い抜いたペレスは、さすがに声がかすれていた。
ヒュー・バード:P3だ、チェコ。2戦連続表彰台だ
ペレス:どんなにキツかったか、想像できないと思うよ。レース中、ずっとドリンクを飲めなかったんだ
そして角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は、ミスなく力強い走りで8月のハンガリーGP以来の入賞を果たした。
マッティア・スピニ:チェッカーフラッグ、P9だ、ユウキ。今季のベストレースだったぞ
角田:みんないい仕事をしてくれた。金曜日の状況から、よくカムバックできた。きみたちやメカニックみんなのおかげだ。ありがとう
スピニ:僕たちこそ、ありがとう。力強い週末だったぞ
角田:貴重なポイントだね
スピニ:その通りだ

終始最下位を走行し、17位完走に終わったニキータ・マゼピン(ハース)に対しては、小松礼雄エンジニアリングディレクターが無線に出た。
小松:チェッカーだ、ニキ。スローモードに切り替えろ。ヘッドレストは申し訳なかった
スタート直後にヘッドレストの緩みが判明し、1周目に緊急ピットイン。結局3回のピットインを余儀なくされたことに対し、小松エンジニアがマゼピンに直接謝罪したのだった。
