──このメキシコGPはホンダF1にとって初勝利をあげた思い出の場所です。今シーズン限りでF1を去るというラストシーズンのホンダにとってここで最後に勝てたことについて山本さんはどういう思いがありますか?
山本MD:うれしいです。1965年にホンダF1が初勝利した場所ですし、ホンダにとってはここで優勝できたことをうれしく思うし、ホンダF1の歴史にとっても大きな意味があると思います。予選ではメルセデスにやられましたけど、あれはリヤのサスペンションに新しいデバイスを使っているという噂もあったので……。ただアドバンテージとリスクは紙一重ということですね。我々もいろいろチャレンジをしているので、いいレースだったと思います。
──先ほど行われたクリスチャン・ホーナー代表(レッドブル・ホンダ)の会見でも「メルセデスのリヤサスペンションのデバイスがバンピーだったアメリカGPだけでなく、今回のメキシコGPでも不発だったこと」について、質問がありました。そういう新しいテクノロジーというのは、うまく機能するかどうかというのは紙一重なんでしょうね。
山本MD:レッドブルとメルセデスは現在のレギュレーションのなかで究極というか、目一杯の状態で戦っていると思うんですよ。そのなかでプラスマイナスのどこで取り分を確保していくか。簡単な話をするとセクター1、2、3をどう走ればいいのか。そのためにどういうクルマ作りをしていくのか、ということです。メルセデスがあのデバイスを採用したのもそれが目的だと思います。普通に考えたらリヤタイヤにも負担になるわけですから。そう言った意味で難しいなかでトップスピードが伸びるのはすごいことですけど、総じていえば総合力で今回はレッドブルが勝ったということです。

──フェルスタッペンが独走し、チームメイトのペレスがハミルトンと戦ったというのがそのことを象徴していましたね。タラ・レバですけど、ペレスがタイヤに優しいドライバーなのだから、第1スティントを延ばすよりも、アンダーカット仕掛けてもおもしろかったかなと。
山本MD:そこはレッドブル・ホンダもメルセデスもわかっていました。そのうえでメルセデスはフェラーリ(カルロス・サインツ)との差をきちんと見ていて、(ピットストップをしてもサインツの前で戻ることができるギャップを確認して)チェコがここで入るだろうというラップでピットインしたので、ステイアウトするしかなかった。ルイスがそこで入らなければ、チェコが入っていました。しかし、そのタイミングで前を走っていたメルセデスがパッと入ったので、あれ以外やりようがなかった。ドライバーズチャンピオンシップで確実に差を広げたい、一方でコンストラクターズも取りに行くという意味ではいい判断だったと思います。

──ピエール・ワシェは、以前はピットウォールにいたと思いますが、いまはガレージのなかにいるのですか?
山本MD:はい、土日はガレージにいます。金曜日はGP(ジャンピエロ・ランビアーゼ/フェルスタッペンのレースエンジニア)がガレージで私の3つ隣にいるのですが、土日はピエール(・ワシェ)と入れ替わるんです。隣がマックスのパフォーマンスエンジニアで、その隣が(ヘルムート・)マルコで、ピエールはその隣です。
──それで、ペレスとペレスのレースエンジニアの「エンジンはどう?」、「グッド!」を聞いていたほかのスタッフと一緒に山本さんも笑っていたわけですね。
山本MD:そうそう。おもしろい会話でした。

