更新日: 2021.11.18 17:37
【F1第19戦無線レビュー】「ついてこいと伝えて。奴らをやっつけよう」ハミルトン、レッドブルを追うべくボッタスを鼓舞
上位2台のラップタイム差はフェルスタッペンが1000分の1秒速い。4秒近い差は縮まらず、ほぼ互角の戦いを繰り広げている。しかしふたりのタイヤは、ともにタレ始めていた。
フェルスタッペン:滑り始めた
ハミルトン:リヤが滑っている
40周目にフェルスタッペンが、先手を打って2度目のピットイン。それ受けてハミルトンの担当エンジニアが、こんな打診をした。
ピーター・ボニントン:もう1回止まるんだったら、どのタイヤがいい?
ハミルトン:スイッチの色で判断してくれ
無線で答えて、レッドブルに聞かれることを恐れたのだろう。43周目に入ったハミルトンにチームはハードタイヤを用意したが、本人は露骨に不平を鳴らした。ボニントンがそれをたしなめた。
ハミルトン:俺が頼んだタイヤじゃない
ボニントン:ミディアムは厳しいんだ
48周目、ターン4のブレーキングでハミルトンがアウト側から被せていったが、抜き切れず。2台はコース外に出ながらコーナーを抜けていった。ハミルトンはフェルスタッペンに押し出されたように見えた。すかさずレッドブルのスポーティングディレクター、ジョナサン・ウィートリーが、FIAレースディレクターのマイケル・マシに連絡を入れた。
ウィートリー:マイケル、これが自由にレースさせるってことだよね
マシ:その辺りをチェックしているところだ。いずれにしても、貴重な意見をありがとう
マシにしてみれば、いちいち念押ししてくるなという思いだろう。最後の「ありがとう」は、いうまでもなく嫌味たっぷりの挨拶だった。そしてスチュワードはこのインシデントについては、「調査の必要はない」という判断を下した。
ボニントン:調査の必要さえないとのことだ
ハミルトン:そりゃ、そうだろう
DRS規定違反で失格裁定を受けたハミルトンにしてみれば、この週末はスチュワードから徹底的にイジメられているという思いだっただろう。そしてそれが逆に、ハミルトンの闘志に火をつけたのかもしれない。
その後も両者は1秒以内の僅差で周回を重ねる。しかしハミルトンは49周目の裏ストレートでフェルスタッペンを捉えると、鮮やかに抜き去っていった。最後の抵抗を試みたフェルスタッペンだが、なすすべもなかった。
ジャンピエロ・ランビアーゼ:ブレーキングで蛇行したということで、黒白フラッグが出された
フェルスタッペン:彼らに、よろしくと伝えといてくれ
ついにトップに立ったハミルトンは、フェルスタッペンとの差をみるみる拡げていった。
ハミルトン:バルテリはどこだ?
ボニントン:P3だ
ハミルトン:グッジョブ!
最終的に10秒以上の大差をつけてチェッカー。ハミルトンとメルセデスの完勝だった。
トト:こうやって20倍のハンディキャップを跳ね返したんだ
ハミルトン:いや、25倍だよ
フェルスタッペン:やれることは、全部やったんだけどね。僕らは十分速くなかっただけだ
クリスチャン・ホーナー代表:素晴らしいダメージコントロールだった。ペレスも最速タイムを出したぞ
フェルスタッペン:グッジョブだった