レースでも、ミックはとてもいいスタートを決めてくれました。しかしよくなかったのは、DRSが解禁された3周目の1コーナー進入でブレーキをロックさせてニキータに抜かれてしまったこと。またキミ・ライコネン(アルファロメオ)との接触は避けられたものです。この接触でフロントウイングを壊してしまったので、事実上ここで彼のレースは終わってしまいました。ミックは通常、予選よりもレースペースの方がいいので、もし1周目の15番手というポジションを序盤キープできていれば、少なくともニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)とはいい勝負ができたと思うので残念です。

また予選でも持っているポテンシャルをすべて発揮することができませんでした。今回もQ1でソフトを3セット使ったのですが、1、2回目のランはよかったです。しかしミックは最後のランの4コーナーでスピードを乗せすぎてアンダーステアを出して、出口で膨らんで白線の外に出てしまったためタイムを抹消されました。4コーナーをきちんと走っていればジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)と同等のタイムを出せたと思うで、これも残念です。メキシコ・ブラジルと2戦続いて予選で実力を出し切れていないので、次のカタールではこの流れを変えたいです。
インテルラゴスはとてもテクニカルで簡単なコースではありません。縁石の使い方なども特殊です。ですから1時間の練習走行のみで予選を走るというのはルーキーふたりには厳しい状況でした。しかしクルマのセットアップも最初からよかったですし、ふたりとも慌てずにしっかりとFP1を走ってくれました。そういう意味ではクルマの仕上がりとふたりのポテンシャルは比較的高かったと思います。

このところメルセデス勢のエンジン交換が話題になっていますが、現状ではハースは2台ともICEを規定の3基以内でやりくりしています。今年はすべての部品を最低限の個数で回しているのですが(2022年に向けてお金をセーブするためです)なんとかうまくやっています。このようなやり方に慣れることは、来年以降も予算制限のなかで戦うには欠かせません。
レース以外の話をすると、ブラジルではいつものようにブラジル料理のシュラスコを食べに行ったり、ネルソンのお店にピエトロたちとご飯を食べに行ったりと、サーキット以外でも少しは息抜きできる機会があってよかったです。それにしても相変わらずサーキット近辺の貧困街のある辺りは危険ですね。例年にも増して警官の数が多かったと感じましたが、ちょっと驚く場面もありました。
次は中東のカタールですが、まったく違う雰囲気の世界に行くことになります。サーキットはMotoGPで使われており、縁石も低いですし路面のうねりもありません。また中・高速コーナーが多いうえにコース幅も狭いので、追い抜きは難しいでしょう。サポートレースもないので、砂が路面に及ぼす影響も比較的大きくなると思います。
ただインテルラゴスのように難しいコースではないので、ウチのドライバーふたりがどれだけ早くコースに慣れることができるのか楽しみです。

