さらにハンガリーGPではこんな珍事件が起きた。レース序盤にジェンソン・バトンがブレーキトラブルに見舞われた際、ピットと無線で交信し、ピットからアドバイスを受けたとしてペナルティを科せられたのである。レース後、バトンは次にように、無線規制に関するレギュレーションを批判した。

「無線規制そのものがいけないわけじゃない。チームメートが自分よりどこで速くまたどこで遅いとか、そういう情報をすべてのコーナーで無線で交信するのは確かに間違っていると思う。また燃費のコントロールもドライバー自身が管理するということにも賛成だ。でも、ブレーキペダルが落ちてしまうなど、安全上の問題が起きたとき、それを回避するために交信する無線まで取り締まられるのは、どうかと思う」
その2週間後、F1ストラテジーグループは、レース中の無線制限を緩和することに合意。無線規制は安全上の問題に限らず、フォーメーションラップがスタートした後、レースがスタートするまでの間を除いては、全面撤廃された(その代わり、FOMは全チームのすべての無線交信に自由にアクセスできるようになった)。