
2021年、というかここ数年、トップ2に位置していたふたつのチームは、フェラーリほど印象的ではなかった。
王者メルセデスもポーパシングにひどく苦しんでいた。さらに、W13は、比較的保守的なコンセプトを踏襲しているように見える。2020年、2021年のF1で最強のチームだったために、メルセデスには、レギュレーションにより認められる空力テストの量が、他のどのチームよりも小さい。その影響が出てきているようだ。

メルセデス自体が、2021年のタイトル争いと2022年型マシン開発に注ぐ力のバランスを取るのは非常に難しかったと認めている。おそらくその結果、メルセデスW13は少し開発が遅れているように感じられるのだろう。とはいえ、このマシンが何か問題を抱えているようには見えないし、バルセロナテストでの最速タイムも記録した。ただしこの時に彼らは燃料を軽くし、ソフトタイヤで走っているので、フェラーリをはじめとするライバルと直接比較することはできない。
メルセデスは3日間を通して、自分たちのテストプログラムに集中し、ライバルたちにほとんど目を向けず、ひたすらスケジュールをこなしていた。そのため、全体的な印象ではやや地味に見えた。ドライバーがピットから出て行く際には必ずスタート練習を行っていたのも目を引いた。そういうチームは他にはほとんどなかったからだ。
W13において最も注目が集まったのはフロアのデザインだ。2021年初期に見られた波状のエッジが復活、他のマシンに見られるフロアのリヤとミッドエリアのエレメントはない。明らかに、この部分のソリューションを開発する風洞およびCFDの時間が、足りなかったのだ。

メルセデスのフロアは高速でたわむという指摘もあり、テスト期間中には、急きょ補強のためのステーを装着することになった。
メルセデスにとってテストは大成功とは程遠く、両ドライバーともマシンに若干の不満を訴えていた。しかしながらメルセデスは、バーレーンテストに大幅なアップデートを予定していると述べており、次回登場するマシンは、見た目もパフォーマンスも一変しているかもしれない。