
レッドブル・レーシングのマシンには革新的なアイデアが詰め込まれており、風洞作業に使える時間が少なかったことを感じさせない作りになっている。フロントエンドにはプルロッドサスペンションを採用。それがパッケージング上のメリットをもたらしているが、過去に大きな成功を収めていないシステムであり、ある程度のリスクはあるだろう。だがこれは、ビークルダイナミクスというよりエアロダイナミクス上の理由で採用されたアプローチなのだ。
レッドブルが最も力を注いだのは、前輪とサスペンションの後ろ側だ。サイドポッドのインレットの先端が長く伸び、アンダーカットとフロア周辺の気流をコントロールしている。ふたつに分かれたフロアフィンを備えたフロア先端、スロットの入った中間セクションも興味深い。より多くの風洞作業時間を許されたチームのマシンに見られるような先進性はないが、効率性は高そうであり、そこはメルセデスより優れている部分と言えるだろう。

レッドブルはRB18を最低重量795kgに近づけるのに苦労しており、具体的な数値は明らかになっていないものの、オーバーウエイトであることは間違いない。コストキャップの制限額ぎりぎりで運営しているレッドブルは、予算の関係で重量を減らすのに苦労しているのかもしれない。
さらに、レッドブルに関して期待外れのパフォーマンスだったのは、レッドブル・テクノロジーズが全チームに提供しているホイールカバーである。標準パーツ供給の契約を勝ち取り、3Dプリントにより同一のパーツを全チームに供給しているわけだが、多数にクラックが入っているのが発見された。これはシーズンを通して問題になる可能性がある。

全体的に見て、レッドブルは比較的速いものの、メルセデスほどではなさそうだ。
バルセロナテストで判明したことは、確実だと言えることは何ひとつないということだった。とはいえ、2021年のトップ3チームが今年、そのままの序列で並ぶことはないだろう。
(第2回に続く)