──ライバルたちの走りを見た現時点での、今季の目標を聞かせてください。
トスト:難しい質問だね。まだ新車で走り始めたばかりで、どのチームも自分たちのクルマの理解に集中して、他がどうなのかまでは意識がいってないだろう。我々は幸い、信頼性に関してはまったく問題はない。相対的なパフォーマンスがどれくらいのレベルなのかは、今後のテストを待った方がよさそうだ。
とはいえさっきも言ったように、クルマのベースは非常によくできている。なので去年以上にいいシーズンになることを期待しているよ。開発の方向性が間違っていないことは、ほぼ確認できた。ドライバーふたりのラインナップも素晴らしい。ピエール・ガスリーは速いだけでなく勝ち方も知るドライバーに成長した。角田裕毅は2年目を迎えて、経験という武器を身につけた。テスト初日の角田の走りには、非常に感銘を受けたね。速さと安定性を兼ね備えて、ノーミスで走り切り、技術フィードバックも申し分なかった。エンジニア、メカニックたちも含め、チーム全体の底上げもされている。今季は十分に、コンストラクターズ選手権5位前後の位置を狙えると思っているよ。いや、5位以上の結果を出したいね。

──角田はF1の肉体的過酷さを過小評価していたと、去年終盤に語っていました。オフの間にトレーニングを重ねて、万全の体調にテストに臨んでいましたか。
トスト:F1マシンのキツさを過小評価するのは、ユウキに限らない。これまでもほぼすべてのルーキーが、多かれ少なかれその問題に直面してきた。下位カテゴリーで走ってきた、どんなマシンとも違う。自信満々でF1にやって来て、ブレーキングやコーナリング中の体力的なあまりのキツさに、その鼻をへし折られるわけさ。10数年前に比べると、今の新人たちはテストの機会もずいぶん少ない。そこは同情すべき点だね。
ユウキもずいぶん苦労していたが、シーズン中盤から正しい方向に軌道修正していった。とはいえ今季のマシンは、去年までよりさらに過酷になっているはずだ。すでに高速コーナーの速さは凄いことになっているし、乗り心地もかなり硬い。シーズンが進むにつれ、さらに速さは増していくだろうしね。ユウキもそこは十分理解して、オフシーズンのトレーニングはいつも以上にしっかりこなしていた。なので、まったく心配していないよ。
──テストでの走行を見る限り、ポーパシングの問題を除けば、ドライバーはそれほど新車の運転に苦労してないように見えます。むしろ去年までより、運転は楽なのでは?
トスト:いや、そうは思わない。というか、まだ新車に関してはわからないことが多すぎる。次のバーレーンテストまで、答えは待った方がよさそうだね。一方で、彼らがスムーズに走っているように見えるのは、今のF1ドライバーの運転技術が非常に高いレベルにあるからとも言える。実際のところ、今の20人のドライバーたちは、最高に運転がうまい連中の集まりだよ。そこはかつてのF1とは、まったく違う点だ。

