更新日: 2022.03.18 06:56
レッドブルRB18に抱く疑問と意外な高評価マシン【サム・コリンズのF1全10チーム開幕直前チェック】
バルセロナでのマクラーレンは非常に強力に見えたし、他チームとは異なり、ポーパシングの影響もさほど受けていなかった。そのためバーレーンでも強さを発揮することが期待されたが、ブレーキシステムに大きな問題が発生した。チームはその問題をテスト中に解決することができず、開幕に向けてマシンの状態が整うのかどうかも不明だ。決勝では完走できないのではないかという予想もなされている。
■アストンマーティンAMR22:今年も上位浮上は困難か
今シーズンは中団から脱却することを目指しているアストンマーティンだが、プレシーズンテストでは毎日のように、マシンが深刻な問題に見舞われていた。バーレーンテスト終盤に向けて良くなっていったが、目立った改善ではなかった。
ニューマシン発表会ではチームは大きな希望を抱いていた。しかしバーレーンテストの時点では、今季も入賞圏内下位を争うことになりそうな印象だった。
■アルファタウリAT03:時折速さを見せるが読めない存在
アルファタウリは、プレシーズンテストの間、ほとんど目立たない存在だった。AT03は優秀に見えるし、時にはかなり速そうだった。だが、どの点から見ても、特に目を見張るようなものを見せてはいない。ポーパシングが出ていたが、他のチームと比較して、最もひどいレベルではなく、最も良い状態というわけでもなかった。そのあたりが、このチームの状況を表しているといえるかもしれない。
■ハースVF-22:序盤から入賞も可能
ハースに驚かされたのは、ドライバー選択だけでなく、VF-22が非常に速いことだ。とはいえそれは予想外と言うべきではないだろう。ハースには、メルセデスやレッドブルよりはるかに多くの風洞使用時間が許されていた。それがうまく生かされたと見ていい。
ハースは、昨年彼らよりも強力だった多数のチームよりも、かなり複雑なマシンを作ってきたようだ。ただ、実際にマシンがどれぐらい強力なのかを予想するのは難しい。やや複雑すぎる部分があるかもしれないし、信頼性の問題を抱えているようだ。それでも最初の数戦でこのマシンがポイントを獲得しても、ショックを受けることはないだろう。
■アルファロメオC42:最軽量もトラブル多発
最低重量として当初定められた795kgに近づけることができたのはアルファロメオだけだったと言われる(注:その後、最低重量は798kgに引き上げられた)。ただ、彼らは信頼性の面で問題を抱えていた。今年からギヤボックスを自社で設計・製造すると決めたことが大きく影響しており、テスト中に何度も故障が起きていた。
トラブルに見舞われずに走れれば、このマシンはかなりの速さを発揮するように思われる。テストのデータだけでは、このマシンの真のペースは測れないと思う。
■ウイリアムズFW44:ポーパシングの解決法を見出せず
FW44は何かがうまくいっていない。全体的に良さそうに見えるが、小さな信頼性のトラブルが多数発生していた。
さらに問題なのは、あらゆる速度域で、ポーパシングに苦しめられていたことだ。チームはこれに対する解決法を見出していないようだった。2022年開幕戦は名門ウイリアムズにとって難しいものになるかもしれない。
■多くのバトルが期待できる2022年シーズン
もちろん、ここまで書いた結論は、エンジンモードや燃料搭載量など、いくつかの重要なデータを考慮に入れずに導き出したものだ。
またタイヤの摩耗についても評価していない。マシンがピレリの新タイヤをうまく機能させられるかどうかは、非常に重要なポイントになる。
ちなみにホイールとタイヤが大型化し、重量が大幅に増えたことで、ピットストップ作業が以前より難しくなり、今までよりも時間がかかるようになると予想されている。
個々のマシンのパフォーマンスは読みづらいものの、テストからひとつ確実になったのは、他のマシンを追走することが以前よりたやすくなったということだ。F1ではダーティエアがもはや問題ではなくなったようだ。テスト中、多数のドライバーたちが前のマシンに接近してみて、「去年よりもはるかについていきやすくなった」とコメントしている。そのため、バーレーンGPではたくさんのバトルが見られると期待してよさそうだ。