レース戦略は基本的に2ストップを想定していました。ミックは1周目にエステバン・オコン(アルピーヌ)にぶつけられてスピンしてしまい、ポジションを落としました。第2スティントはミディアムタイヤで行きましたが、なかなかペースが上がらず。ソフトに戻した第3スティントはいいペースで走れました。
セーフティカーが出た時は10番手で、もしピットインすれば後ろの3台に抜かれる位置でした。ただし、ピットインしなかった場合に彼らより古いタイヤでポジションを守れるかどうかはかなり疑問で、ミックに「タイヤはこのままで再スタートいけそうか?」聞いたところ「いけると思う!」と言うので、そのまま行きました。が、結果的にはこれがミスで、リスタート後にその3台に抜かれて11位フィニッシュ。ピットインして1台でも抜き返せていれば10位だったので、これは失敗しました。

ケビンは最初のスティントでセルジオ・ペレス(レッドブル)やジョージ・ラッセル(メルセデス)とバトルをしてちょっとタイヤを痛めてしまいましたが、それでも慎重にピエール・ガスリー(アルファタウリ)を抑えて走行。第2スティントは予定通りソフトで行き、ミディアムを履いたガスリーに差をつけることができました。そして2回目のストップは、ガスリーに反応する形でピットイン。タイヤの温まりが悪く一度は抜かれたものの、ガスリーがハードタイヤを履いていたこともありすぐに抜き返すことができました。
そのガスリーが止まりセーフティカーが出た際に後ろのボッタスがピットインしたことを受けて、ケビンも再度ピットイン。レース再開後はこれまたまったくミスのない走りでボッタスを抑えきり、見事5位入賞。最高のカムバックとなりました。
昨年とは大きく変わった今年のクルマですが、確実に前車についていきやすくなりました。また、今年のウチのクルマは競争力があるので接近戦もできてホントに楽しかったです。

開幕戦を終えての手ごたえとしては、やはりバルセロナテスト2日目にポンと出せた1分21秒5というタイムの評価は正しかったんだなと。それでもビッグ3に続けるとは思っていなかったので、今このレベルにいることはチームにとってとても明るいニュースです。昨年1年をすべて棒に振って開発してきたことが実り本当に嬉しいです。
信頼性という意味では予選の問題でもわかるように、まだまだ綱渡り状態でまったく安心できません。次戦サウジアラビアGPでも信頼性の確保は第一目標です。今はまだ問題を抱えているチームがあるので、彼らが手こずっている間になんとしても完走してポイントを稼がなきゃいけないんです。大きいチームはそのうちどんどん速くなってきます。それまでにとにかく獲れるだけポイントを獲らないといけません。しかし信頼性第一でやっているので、いろいろな面でクルマの性能すべてを引き出すところまではいっていないというのが現状です。ですから性能的にまだまだ伸びしろがあるので、信頼性を確保しながら性能面をどれだけ早く詰めていけるかというバランスが重要になります。

