エミリア・ロマーニャGPは金曜日から雨で、予選もウエットコンディションで始まりました。Q1ではケビンはいいタイムで走ってくれて、ミックもなんとかQ2に進んでくれました。Q1終盤はミックの方がいいコンディションで走っていたのですが、やっぱりまだケビンには敵わないです。それでもギリギリでQ2進出を決めたのでほっとしましたね。
ただミックがよくなかったのは、Q2でのアタック中にトサコーナー(ターン7)でスピードを出しすぎて出口で膨らんでしまい、そこでアタックをやめてしまったことです。このミスがコンマ4秒ほどのロスになりましたが、もしターン7以降も速度を落とさずにアタックを続けていれば、コンマ3秒くらいは取り戻すことができたはずです。そうすればケビン(1回目のアタックは1分19秒902)のコンマ1秒くらいのところまで近づけて、Q3進出も見えていた可能性はありました。
結局カルロス・サインツ(フェラーリ)のクラッシュで赤旗が出て、中断中に雨が降ったのでこれ以上のタイム更新ができず13番手で終わってしまいました。ミックは一度ミスをしても次のチャンスがあると思っていたのですが、天候が安定せず、さらにいつ赤旗が出るかわからない状況では「次があるから大丈夫なんて思っちゃダメ」と予選後にミックにも伝えました。ミスをしても攻め続けて、タイムを出せるときに出しておくことが大切です。

そして、それができていたのがマックス・フェルスタッペン(レッドブル)です。Q3では、彼のアタック中にバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)のコースオフによる黄旗が出ました。この時フェルスタッペンは黄旗区間ではちゃんと速度を落としながらも、残るコーナーをしっかりと攻めていたのでポールポジションを獲れたのです。この点はミックの経験不足が出てしまったのかなと思います。
一方でケビンは本当によくやってくれました。Q3の最初のアタックの際にアクアミネラリで飛び出した時には冷やっとしましたけれど、クルマの角度的にはコースに戻れそうだったのでなんとか戻ってきて、アタックをやり直して4番手となりました。ボッタスの赤旗後はセッション序盤よりも雨がひどかったので、最後のノリスの赤旗がなくてもケビンの順位は変わらなかったと思いますが、タイムを出せる時によくあのタイムを出してくれたと思います。
今回の予選はプランを立ててセッションに臨んでもすぐにインターミディエイトからドライに変わるだろうと予想していましたし、赤旗があればそこでまたプランは変わります。ドライで何周走れるのか、ガソリンの量はどうするのかというのも刻々と変わっていくなかで基本的に間違ったことはしていないと思っていますし、この結果を出せたので、これ以上楽しいことはないなと思います。僕はこういう状況での予選が好きで、こういうことがあるからこの仕事をやっているんだなと改めて実感しました。
