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投稿日: 2022.05.19 19:46
更新日: 2022.05.19 19:49

【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第6回】またも遠のいたミックの初ポイント。W入賞も見えた決勝はミスで台無しに


F1 | 【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第6回】またも遠のいたミックの初ポイント。W入賞も見えた決勝はミスで台無しに

 決勝レースは序盤からいいペースで走れていて、ケビンがミックに追いついたところで順位を入れ替え、前を走るランド・ノリス(マクラーレン)を追うことにしました。まずはノリスに追いついて、もし彼を抜けなければピットストップを行おうと思っていたのですが、11周目の早い段階で角田裕毅(アルファタウリ)選手がピットイン。彼にアンダーカットされるのを避けるために2台とも早めにハードタイヤに交換しました。

 ハードのペースには自信があったのですが、誤算だったのはフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、セバスチャン・ベッテル&ランス・ストロール(アストンマーティン)という3台のDRSトレインで詰まってしまったことです。なんとかストロールをパスしたケビンだったのですが、その後ミスがあってDRSトレインから離れてしまい、ケビンはDRSを使えなくなりました。

 そうこうしているうちにミックが追いつき、少しずつケビンに仕掛けるようなそぶりも見せて、ケビンもディフェンスしないといけなくなり……ケビンがもう一度ミスをしたところでミックが前に出ましたが、こういうことをしているとふたりともペースが上がらなくなるので、これはよくなかったです。

ミック・シューマッハー&ケビン・マグヌッセン(ハース)
2022年F1第5戦マイアミGP ミック・シューマッハー&ケビン・マグヌッセン(ハース)

 その後41周目にセーフティカーが導入された際には、2台ともにステイアウト(ピットインをしない)の指示をだしました。しかしケビンは順位を下げてでもピットインをして新しいタイヤに交換したいというので、本当はハードで最後まで走りきれると予測していたのですが、ケビンがどうしてもというので彼を信じて交換しました。これで順位を下げたものの、ポジションを取り戻すことは可能で、ミックの方も再スタートさえ気をつければソフトに履き替えたエステバン・オコン(アルピーヌ)にも抜かれることはないと思っていたので、ダブル入賞が見えていました。

 ところがケビンはターン1でストロールと接触し、フロントウイングを破損。ミックはアロンソがシケインをカットしたことでDRSを使えない状況になり、すぐ後ろにいたベッテルに抜かれ、抜き返そうと飛び込んでいったとことろで接触してしました。予選で失敗したぶんレースで挽回しようと思っていて、それまでは上手くレースを運び、ダブル入賞ができそうだと思っていたところでした。今のチーム状況では特にダブル入賞がどれだけチームの士気に影響するか分かっているので、こんなことでそれを棒に振ってしまい本当に残念です。

 レース後のミックは落ち込んでいるというか、半泣き状態でした。ただ僕からミックに言えることは、前回のコラムにも書きましたが、物事に優先順位をつけて集中して取り組んでほしいということです。ミックはフェラーリからもサポートを受けているのでいろいろな情報を得ているとは思いますが、そのなかで自分には何が必要なのか、どうしたらいいのかをフィルターをかけて判断して、自分のなかで消化してやらないと身につかないですからね。ミックはアロンソがシケインをカットしたことに怒っていましたが、アロンソのやることはすべて計算ずみです。要は元チャンピオンにいいようにやられたということです。

 またミックは予選でここぞという時、プレッシャーがかかった際に1周をまとめられません。今回もQ2で新品ソフトを履いた時にタイムを更新することができなかったので、予選に対するアプローチも改善が必要だと思います。

 次戦スペインは走り込んだバルセロナでのレースなので、ドライバーふたりにも本来の実力を出し切って欲しいと思います。他チームはたくさんアップデートを入れてくると思います。うちはマイアミで新しいフロアを投入したのでバルセロナでは何も変更はありませんが、とにかく持てるポテンシャルを出し切っていいレースをしたいと思っています。

ミック・シューマッハー(ハース)
2022年F1第5戦マイアミGP ミック・シューマッハー(ハース)


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