更新日: 2017.01.18 11:11
F1 Topic:パディ・ロウはなぜメルセデスを離脱したのか? 囁かれるチーム内での確執
ロウがメルセデスAMGを離脱するに至った背景には、これ以外にもうひとつの理由が考えられる。それは、チーム内での確執だ。じつは昨年のハンガリーGPのパドックでロウと立ち話する機会があった。そのとき、ロウは「あなたたちが思っているほど、私のことを評価していない人もいる」という旨のコメントをしていた。
そのとき、その言葉の意味を筆者はすぐに理解できなかったが、その答えはそのハンガリーGPの土曜日に明らかになった。予選後にハミルトンがチームメートのロズベルグがダブルイエロー区間で十分に減速していなかったことをFIAに告発したのである。
チームの技術部門を取り仕切るロウにとって、ハミルトンのこの行為は造反だった。さらにロウにとって屈辱的だったのは、最終戦アブダビGPのハミルトンの行為だった。超スローペース作戦を採って、奇跡の逆転王座を狙ったハミルトンだが、ロウはこれを良しとせず、ハミルトンに無線で再三、ペースアップするよう指示を出したが、ことごとく無視された。
レース後、ビジネス部門のエグゼクティブディレクターを務め、事実上のチーム代表であるトト・ウォルフが、「ハミルトンに対してなんらかのペナルティを下す可能性」を示唆していた。しかし、チームは振り上げた拳を自ら引っ込めた。それは、この時点でロウがチームを離脱することがほぼ決定した何よりの証左である。すでにロズベルグが引退していたメルセデスAMGにとって、これ以上離脱者を増やしたくなかったのである。
テクニカルディレクターかチーム代表か、新しい役職はまだ明らかにされていないが、ロウがウイリアムズに行くことはほぼ間違いない。そして、その発表は早ければ、今週中にも行われるかもしれない。