F1史上最多の勝利数を誇る、現役7冠チャンプ、ルイス・ハミルトン。鈴鹿では4勝しており、これはセバスチャン・ベッテルと並び歴代2位タイの数字だ。ハミルトンは2007年、新人だった年に富士スピードウェイでの日本GPに勝っているので、日本GP通算では5勝、単独2位ということになる。
シューマッハーがそうであったように、ハミルトンもどこでも強いドライバーだ(あたりまえの話)。しかしハミルトンにとって鈴鹿は、ある時期まで得意中の得意とはいえないコースだったのではないか(極めて高い次元においての話)。
鈴鹿では2012年までのマクラーレン時代には勝っていないし、メルセデス移籍以降(2013年〜)も2014、2015年と2連勝してはいたが、ポールポジションは当時の僚友ニコ・ロズベルグに2014〜2016年と3年連続で奪われていた。2016年は決勝で同門チャンピオン争いにおける手痛い黒星(自身3位、ロズベルグ優勝)を喫してもいる。
はなはだ僭越な言い方になるが、ハミルトンが本当の意味で鈴鹿を極めたのは2017〜2018年、自身2度目の鈴鹿2連勝時ではなかったか(繰り返すが、極めて高い次元においての話である)。
2017年、ハミルトンは鈴鹿での初ポールポジションを獲得。2009年から数えて通算9度目のトライでの鈴鹿初ポールだった。ハミルトンにしては、時間かかり過ぎ、である。
「このポールポジションを手に入れるため、何度も挑戦してきた。そうしてやっと手に入れたんだ!」
当時のコメントが、鈴鹿完全攻略はハミルトンをもってしても決して簡単ではなかったこと、そしてついにそれを叶えられた喜びがとても大きいことを示している。
2017年の決勝ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル・TAGホイヤー)を振り切って勝ち、2018年は全周回首位の圧勝で2年連続の鈴鹿ポール・トゥ・ウインを達成。こうして、ハミルトンは鈴鹿で2度目の2連勝を成していくなかでここも得意中の得意とし、いよいよ完全無欠とも評せる存在に昇華していったように考えられる。
今年2022年、3年ぶり開催の鈴鹿でハミルトンは当地5勝目を狙う。シーズン前半戦の状況からは本命視できないが、レッドブルとフェラーリの面々には鈴鹿での優勝経験がないだけに、ハミルトンならば何かを引き起こすかもしれない、そんな可能性を感じさせてくれる存在であることは確かだ。


