■廃止されたトークンシステムの代案
ターボ・ハイブリッド時代の到来に先立って、コストと開発競争を抑制したいと考えたFIAが、トークンシステムを導入したのは理に適ったことだった。
ただ、実際にその時代が始まった時、メルセデスに圧倒的なアドバンテージがあったために、このシステムは完全に裏目に出た。結果として、ライバルたちが開発によってメルセデスに追いつく機会を奪ってしまったのである。
2017年に向けて、マニュファクチャラーとFIAは、これとは違うアプローチを採ることで合意した。それが、部品やコンポーネントの重量と寸法に焦点を当てた、新しい開発制限の考え方だった。
たとえば、MGU-KとMGU-Hの重量は、それぞれ7kgと4kgを下回ってはならない。ピストン、コンロッド、クランクシャフトの最低重量も規定されている(それぞれ、300g、300g、5300g)。
また、この新規定では、クランクシャフトベアリングのサイズ、圧縮比(18.0以下)、金、プラチナ、ルテニウム、レニウムを用いたコーティングの厚さ(0.035mmまで)の制限も追加された。
こうした変更は、いずれも開発を制限し、マニュファクチャラーがどこまでもゲインを追い求めて、競争がエスカレートするのを防ぐことを意図している。また、ドライバーがシーズン中に使えるパワーユニットの数が4基までなるため、アップデートの投入についても、これまで以上に慎重なプランニングが必要になるだろう。