更新日: 2022.10.12 08:48
「これほど危険なことは受け入れられない」F1ドライバー&GPDAが雨の日本GPでの事故処理手順に抗議。FIAは改善を検討へ
サインツは、雨が激しく、視界が非常に悪い状態がどれだけ危険かをこう説明している。
「人々は理解していないのだが、セーフティカー先導時でも100km/h、150km/hのスピードが出ている。そして(雨が降っていると水しぶきで)何も見えないんだ」とサインツ。
「クレーンがコース上に出ていて、僕たちがセーフティカーの後ろを100km/hで走っているときに、ひとりのドライバーが小さなミスをしたとする。ラインを少しだけ外れるとか、そういう愚かなミスを犯し、そこにトラクターがいるということを覚えていなかったとする。すると彼はトラクターにクラッシュしてしまうんだ。そんなリスクをなぜ冒すのか? 僕たちが言いたいのはこういうことだ」
「ドライバーの運に任せるようなことをする必要はない。結局は赤旗になったんだ。なぜ(あのタイミングで)トラックをコースに出した?」
この出来事の直後、ビアンキの父はインスタグラムを通して強いメッセージを送った。
「ドライバーの命に対する敬意もなければ、ジュールの記憶に対する敬意もない。信じられない」
レッドブルチーム代表クリスチャン・ホーナーも、ドライバーたちの意見を支持し、FIAに真摯な対応を求めた。
「全く受け入れられない。ここで我々はジュール・ビアンキを失った。絶対にあってはならないことだ。なぜコース上に回収車両があったのか、完全な調査を行う必要がある。チェコから話を聞いた。この視界ゼロのひどいコンディションでは、極めて危険だ」
F1ドライバー連盟、グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション会長を務めるアレックス・ブルツはすぐさまコメントを発表した。
「コース上のトラクターについて議論する必要がある。一言で言って、こんなことは起きてはならないのだ」
国際モータースポーツ競技規則付則H項に「マーシャルまたは車両は、レースコントロールの許可なくサーキット周辺に立ち入ってはならない」と記されているように、判断はレースコントロールに任されている。FIAは、セーフティカー出動時に事故車両回収車がコース上に出ることは規則上、問題ないとした上で、ドライバーたちの意見を受けて、今後の改善のために調査を開始したことを日本GP決勝日、発表した。
「セーフティカー出動時および赤旗中に車両を回収するのは通常の慣行であるが、(今回は)特殊な状況であり、多数のドライバーたちのフィードバックを考慮し、FIAは日本GPでの車両回収車の出動に関わる出来事について徹底的な調査を開始した」とFIAの声明には記されている。
「これはプロセスと手順を継続的に改善するために、すべてのレースインシデントの報告と分析を行うという、一般的な慣行の一部である」