投稿日: 2022.10.21 06:29
更新日: 2022.10.21 06:37
更新日: 2022.10.21 06:37
【F1コラム:利権と闘争】良い結末などあり得ないコストキャップ違反問題。FIA会長が背負う数々の苦難
Nick Richards
autosport web/F1速報公式サイトで長年連載してきた「ホンダF1甘口コラム」「ホンダF1辛口コラム」の「辛口」パートの執筆者ニック・リチャーズ氏が記す、F1の政治問題をテーマにするコラム。独自のシニカルな視点で時事に切り込む。
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「こんなことなら早起きするんじゃなかったな……」と、すっかり冷めきったイングリッシュ・ブレックファストを前に、思わずつぶやいた。妻は通常よりもかなり時間を早めた朝食に付き合う気はないと事前に宣言していたので(「あなたの葬式でも、自分の葬式だったとしても、そんなに早く起きる気はありませんよ」)、そばにいるのは、我が忠実な家政婦だけ。熱い紅茶を注ぐために近づいてきた彼女は、私の言葉にどう答えたらいいのかと怯えた風だったが、独り言と判断して、そそくさとキッチンへと退出した。
私は紅茶を飲みながら、日本GPのレースが再開するのを待っていた。そのうち書斎に移動し、本を読みつつ待機。そうしてようやく始まったレースは、本来のレースディスタンスの半分強で終わってしまった。テレビを消して外に出て、イギリスの秋をしばし満喫しようかと立ち上がった時、コメンテーターたちが「フェルスタッペンがタイトルを獲得したようです」と言うのが聞こえ、一瞬耳を疑った。解説者たちも困惑しきっていて、理由を説明できずにおり、問題は私の耳でも、解説者たちでもないとそのうち分かった。