更新日: 2017.02.04 09:31
【特集】エクレストンはF1界の「ヒーロー」か「悪党」か:(2)ヒーロー編
F1を“売れる商品”に変えた功労者
バーニー登場以前のF1は、多くの独立系チームがそれぞれに仕事をしているだけの世界だった。彼はそれを、誰もが知るチームやドライバーが存在する、「売れるもの」へと変えていった。彼がいなければF1はサーカスにはならなかったし、サーキットやテレビ局、世界中のファンに売れる商品には絶対にならなかっただろう。けれども、当時のチームボスはもはや残っておらず、今日のボスたちは、バーニーがどのようにしてパズルのピースを組み合わせていったかなど知りもしない。
この10年間、バーニーが以前ほど優れた仕事をしていないのは確かだが、それが彼が他を支配しきれなくなった時期であるのは偶然ではない。決断ができる独裁者は必要な存在なのに、チームは委員会による運営という、F1にとっては悲惨な決定を下してしまった。
バーニーは方向性を決め、結果を出すために必要なことをする。それがコストのかかるものであるか、金儲けにつながるものかに関係なくだ。
正直な相手には常に誠実に接した
個人的にバーニーを知る立場で言えば、彼を金だけの男として見るのは間違っている。ブラバムでの勝利か、はたまた金儲けかにかかわらず、彼が成功を求める気持ちに駆られてきたのは確かだ。そして一日が良い日だったのか悪い日だったのかを、そういう視点で判断する。
ともに働くには難しい男だが、正直で、自分の発言を翻すことはない。こちらも誠実でいる限り、いつだって時間を作ってくれる。いつでもドアをノックして、話をすることができた。最高の嘘よりも最悪の真実を求める姿勢は、変わることがなかった。それゆえにF1の方向性は、彼に委ねられていたのだ。
バーニーの後任を務めるのは簡単ではないだろう。ロシアGPに関して解決すべき問題が起きたときに、ウラジーミル・プーチン大統領にいったい誰が電話をするのか? チェイス・キャリーか? それは無理だと思う。
そういうケースに出くわしたとき、人々は初めて、バーニーの影響力の大きさに気づくことになるだろう。
この記事は国内独占契約により英 AUTOSPORT.com 提供の情報をもとに作成しています