Kunio Shibata

 会見では質問者の真意がうまく伝わらなかったようで、後で改めて長谷川総責任者に尋ねてみた。「トラブルが出ないのが、もちろん理想的です。しかしホンダは今季、かなり攻めた開発をしています。なので(トラブルの発生は)ある程度覚悟の上です」と述べた。

 “攻めた開発”とは、具体的にどんな内容なのだろう。長谷川総責任者は「どこまで公表していいのか、まだ迷っているんですが」と前置きしつつ、「一番大きいのは、ターボを下げたことですね。レイアウトを変えて、重心を下げました」と、明かしてくれた。

 ホンダ製パワーユニットのレイアウトは2016年まで、V6エンジンのVバンクの中にタービンとコンプレッサーを収めるスプリットターボ方式を採用していた。

 去年からはターボ径を大きくし、エネルギー回生効率を向上させたが、Vバンク内にあることは同じだった。それが今年はバンクから出すことで、大きく重心を下げたというのだ。

「ものすごく下がってます。それが一番大きな変更ですね。よくできたと思います」。センチメートル単位で下げたのかと訊くと、「そうです」と言明した。ミリ単位の変更さえ困難を極めるF1の世界では、確かにものすごい変更である。

 本格的にパフォーマンスを追求する来週からの合同テスト2回目で、その効果のほどが確認できそうだ。

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