Luis Vasconcelos

■評価 6/10:FLはリカルドより速かった角田裕毅

セルジオ・ペレス(レッドブル):予選9番手/決勝3位
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選11番手/決勝8位
バルテリ・ボッタス(アルファロメオ):予選7番手/決勝12位
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選16番手/決勝11位
角田裕毅(アルファタウリ):予選17番手/決勝15位
エステバン・オコン(アルピーヌ):予選12番手/決勝リタイア
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選10番手/決勝14位

角田裕毅(アルファタウリ)
2023年F1第12戦ハンガリーGP 角田裕毅(アルファタウリ)

 セルジオ・ペレス(レッドブル)は表彰台に上ったとはいえ、素晴らしい週末を送ったとはいえない。金曜FP1の最初のラップでクラッシュ。メカニックたちはFP2に向けてマシンの修理に追われた。予選ではフェルスタッペンより0.4秒遅い9番手。決勝ではラッセルと同様にハードタイヤでスタートし、その後、最速レベルのペースを発揮して、アロンソ、ピアストリ、フェラーリ2台を比較的簡単に抜き去ったが、ハミルトンには苦戦を強いられた。早い段階でプッシュしすぎたために、終盤はタイヤのパフォーマンスが低下し、前のノリスを追うことができず、ハミルトンを抑えるのが精一杯だった。

2023年F1第12戦ハンガリーGP 優勝したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と3位セルジオ・ペレス(レッドブル)

 SF-23が期待どおりのパフォーマンスを見せなかったこの週末、カルロス・サインツ(フェラーリ)は、マシンの欠点をカバーすることができず、ルクレールほどの速さを見せなかった。0.002秒差でQ3進出を逃がした後、決勝スタートではソフトタイヤを目いっぱい活用し、1周目に5つもポジションを上げた。チームは最初のスティントを延長せず、15周目にサインツをピットに入れた。それによって、彼のマシンにとって最悪のタイヤであるハードでふたつの長いスティントを走らなければならなかった。サインツはペレス、ラッセル、ルクレールより下の8位どまりに終わった。

 レースが始まってわずか2秒で、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)は、自分がポイント獲得が困難な状況に陥ったことを悟った。予選でQ3に進んだものの、若きチームメイトに敗れたため、喜べる結果ではなかった。しかしレースでは前があいた状態では良いペースを見せており、もし周冠宇のスタート失敗がボッタスのレースを妨げなければ、間違いなくもっと上位でフィニッシュしていたはずだった。

 アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は、ウイリアムズFW45と相性の悪いサーキットで、マシンから最大限のパフォーマンスを引き出したが、入賞にあと一歩およばなかった。予選ではQ1で敗退したものの、日曜には安定したレースを展開、2度にわたってアンダーカットを試み、素晴らしいアウトラップによって順位を上げた。いつもどおりアルボンは、ミスを犯すことなく後続を抑え続けたが、11位が彼に可能な最大限の結果だった。

 結果の上では、角田裕毅(アルファタウリ)は予選でも決勝でも新しいチームメイトに敗れた。しかし公平を期していうなら、角田はフリー走行で新フロントウイングを壊してしまい、旧型に戻さなければならなかったという事情があった。リカルドは角田より0.013秒速いタイムでQ2進出を決めた。だが、新ウイングには0.013秒以上の効果があったはずだ。

 角田は決勝ではソフトタイヤでスタート、それによって1周目に6つ順位を上げたので、このギャンブル自体は成功したといえるだろう。しかし角田はトラフィックに巻き込まれ、最初のピットストップ後にはアルボンの後ろ、2回目のピットストップ後にはローガン・サージェントの後ろで足止めされた。最終的に15位フィニッシュだった角田だが、ファステストラップの比較では、角田はリカルドより0.7秒速いタイムを記録している。

 アルピーヌのペースが上がらないなか、エステバン・オコン(アルピーヌ)は、予選でQ2で敗退したものの、チームメイトよりはるかに速いタイムを記録、ハンガロリンクを得意としていることを改めて示した。決勝では開始早々に周冠宇のミスの被害者となり、2周目にリタイアした。

 今回もニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は予選のスターだった。ハースVF-23でQ3に進出してみせたのだ。決勝では、オープニングラップでひとつ順位を上げ、ファーストスティントは順調だったが、セカンドスティントでトラフィックにはまり、最後のふたつのスティントではダイヤのデグラデーションに苦しみ、長く苦しいレースをした後に14位でフィニッシュした。

ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)
2023年F1第12戦ハンガリーGP ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)

■評価 5/10:速さがなく、運にも恵まれなかったガスリー

ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選15番手/決勝リタイア
ランス・ストロール(アストンマーティン):予選14番手/決勝10位
ローガン・サージェント(ウイリアムズ):予選20番手/決勝リタイア(18位完走扱い)

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
2023年F1第12戦ハンガリーGP スタート直後の接触でダメージを負ったピエール・ガスリー(アルピーヌ)

 ピエール・ガスリー(アルピーヌ)もまた、周冠宇のミスの被害者のひとりだった。ガスリーは前戦イギリスでは一定の進歩を見せたものの、ハンガリーでは、アルピーヌが競争力を示せないなか、予選でオコンに大差で敗れ、良い週末を過ごすことができなかった。

 ランス・ストロール(アストンマーティン)は1ポイントを獲得したものの、チームメイトとの差は歴然としていた。予選Q2ではアロンソよりも0.4秒以上遅かった。決勝スタートでソフトを履いたことで、オープニングラップで大きく順位を上げたが、ターン4ではコース外からボッタスを追い越しており、ペナルティを受けてもおかしくなかった。その後はタイヤ管理とアンダーカットに集中、レース終了時にはチームメイトからほぼ30秒遅れていた。

 ローガン・サージェント(ウイリアムズ)は、残り数周の時点で角田の前の15番手を走っていたが、スピンを喫し、レースを終えることになった。サージェントにとって、これまで経験したことがないほど身体的にきついレースで、レース後には疲労困憊していた。予選では最下位だったものの、アルボンと0.3秒差のタイムを出しており、これはルーキーとしては悪くないパフォーマンスだった。レースではチームの優れた戦略によりポジションを上げていたが、レース終盤のシケインでスピンしてしまった。

■評価 4/10:3台のレースを台無しにした周冠宇

周冠宇(アルファロメオ):予選5番手/決勝16位

周冠宇(アルファロメオ)
2023年F1第12戦ハンガリーGP 周冠宇(アルファロメオ)

 予選だけでいえば、周冠宇(アルファロメオ)にはベストの評価をしていただろう。アルファロメオでQ3に進み、5番手を獲得したのだ。しかし彼は決勝スタートで出遅れた後、自身のミスでアルピーヌ2台をリタイアに追い込み、リカルドを最後尾に後退させた。素晴らしい予選結果を出した後、週末を良い形で締めくくることができなかった。

■評価 3/10:再びチームメイトに大差をつけられたマグヌッセン

ケビン・マグヌッセン(ハース):予選19番手/決勝17位

ケビン・マグヌッセン(ハース)
2023年F1第12戦ハンガリーGP ケビン・マグヌッセン(ハース)

 あまり厳しいことを言いたくはないし、ケビン・マグヌッセン(ハース)にこれより低い評価をつけなかったのは、彼がブダペストに飛ぶ前に2人目の子どもが生まれており、父親としての気持ちが大きく占めている時期だったと思われるからだ。しかし予選Q1ではヒュルケンベルグより0.5秒も遅い19番手に終わり、決勝1周目に大きくポジションを上げたが、最終的には最下位、しかも前との差は21秒以上も開いていた。

2023年F1第12戦ハンガリーGP 表彰式
2023年F1第12戦ハンガリーGP表彰式 左から2位ランド・ノリス(マクラーレン)、ポール・モナハン、優勝マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位セルジオ・ペレス(レッドブル)

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