更新日: 2023.08.22 08:31
【F1コラム:利権と闘争】新チームを拒否する精神が招くかもしれない危機
autosport web/F1速報公式サイトで長年連載してきた「ホンダF1甘口コラム」「ホンダF1辛口コラム」の「辛口」パートの執筆者ニック・リチャーズ氏が記す、F1の政治問題をテーマにするコラム。独自のシニカルな視点で時事に切り込む。
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英国の美しい夏を実感できる日々はあっという間に終わり、雨が降り、肌寒い天候のなか、誰もが計画の変更を余儀なくされている。私の場合、庭でくつろぎながらブルゴーニュの白ワインコレクションを楽しむ機会が減ってしまった。最近、フィリップ・パカレのコルトン・シャルルマーニュ・グラン・クリュ2020を大量に手に入れた。グラスを傾けて、物思いにふけりながら、残りの人生を過ごすことができるほどの量だ。
ワインのケースが届いた時には、そうやってこの夏を過ごす計画を立てていた。芝生が完璧に刈り込まれた自分の庭に座って、最高級の美酒をグラスに注ぎながら、美しいイギリスの海の水平線を眺める。そうした時間を過ごしていると、心が研ぎ澄まされる。それに、妻や献身的な家政婦から離れてひとりの時間を過ごすこともできる。妻は「淑女たるもの、日焼けなどすべきでない」と言って日光を避けているので、長時間庭で過ごすことなどしない。気の毒な家政婦はとても忙しく、ほとんどの時間をキッチンで過ごし、それ以外の時間もダイニングルームか書斎にしか姿を見せない。
しかし、プランが思ったとおりにいかないのはよくあることだ。屋内に閉じこもるしかなかった日々に考えたのは、F1の将来のことだった。