更新日: 2023.09.15 14:32
【F1コラム:利権と闘争】フェラーリでの復権を狙うビノットと、バスールに向けられる不合理なプレッシャー
autosport web/F1速報公式サイトで長年連載してきた「ホンダF1甘口コラム」「ホンダF1辛口コラム」の「辛口」パートの執筆者ニック・リチャーズ氏が記す、F1の政治問題をテーマにするコラム。独自のシニカルな視点で時事に切り込む。
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数カ月前、ブリッジクラブに入っている妻が、海外の国際的なイベントに出場すると宣言した。つまり、その間、私はひとりで静かな日々を過ごせるということになる。もちろん、食事を作り、掃除をしてくれる家政婦は残るわけだが、彼女はわけが分からない話題について話しかけられることを極端に怖がっているので、必要以上には姿を見せない。食事のベルが鳴って、「ああ、いたのか」と気づくような感じだ。
ブリッジに全く興味のない私は、妻が、ミラノのモンテ・ナポレオーネ通りにある豪華なホテルで(怪しげな)ブリッジのスキルを披露するということ、私の古くからの知り合いがそのイベントに行く予定になっているということを、最初は全く知らずにいた。しかしその後、ブリッジにはまっているモデナ出身の旧友が、大会エントリーリストに妻の名前を見つけ、気を利かせて、トーナメントが行われるホテルに私の部屋も取ってくれた。さらに、イタリアGPの期間と重なっていたために、グランプリのゲストパスも用意してくれたのだ。
こうして私は、ひとりで静かな日々を過ごす代わりに、モンツァを訪問することになった。パドックに行くと、昔と同じイタリア人のグループがいることに驚き、一方では日本人がとても少ないことにも気づいた。悲しいことに、2026年にホンダが本格的に復帰するまでは、日本の旧友たちは鈴鹿以外には姿を見せないのかもしれない。