更新日: 2023.09.29 11:20
レギュラー陣に僅差で迫った平川亮のマクラーレンF1・シム初ドライブ「全然乗れるなという感触です」
突然のF1日本グランプリ訪問で明らかになった平川亮のマクラーレンF1リザーブドライバー就任。オートスポーツ本誌はこの直前に平川と中嶋一貴TGR-E副会長にリモートインタビュー。9月29日(金)発売の11月号の巻頭に掲載している。
9月上旬に平川はマクラーレン・テクノロジーセンターを訪れて、シミュレータでのテストドライブに臨んだ。インタビュー中では、そのシミュレータについて守秘に触れない範囲で語っている。本誌から一部抜粋してお伝えする。
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――F1のシミュレータに乗ることになり、どのような気持ちでしたか? 中嶋一貴TGR-E副会長によるとテスト的な意味合いもあったようですが?
平川:これまでいろいろなシミュレータに乗ってきたので、今F1という最先端の場でどのようなシミュレータを使っていて、どういうオペレーションをやっているのかというところにすごく興味があったので、本当に楽しみでした。自分としてはオーディションを受けているような感覚はなかったですし、自然にできたのではないかと思います。
――平川選手が乗ったシミュレータは最新、最先端のものでしたか?
平川:はい。いくつかあって、そのうちメインのものを使わせてもらいました。かなり機密の部分が多いので詳しくは言えませんが、非常に立派な施設でしたね。
――では、言える範囲で結構ですが、実際に乗ってみてどうでしたか?
平川:やっぱりスピードが速いので、最初は慣れるのに結構時間がかかってしまいました。しかし、その後エンジニアの方からアドバイスをたくさんもらい『ここはこういうふうに走らせるんだ、ここはちょっと違うよ』と教えてもらってからは、結構すぐにタイムが上がり、最後はF1のレギュラードライバーと変わらないようなタイムを出すことができました。すごくリアルな感じで乗れましたし、オペレーションも含めてとてもキッチリしているというか、レベルが高いなという印象を受けました。
――レギュラードライバーと同じようなタイムを出せたのはすごいことですね。ちなみに、シミュレータの設定はどのサーキット、どのクルマだったのですか?
平川:2年前のMCL35Mです。
――ということは、やはりその後バルセロナで実際に走ることも想定した上でのシミュレータ作業だったのですね!
平川:はい、そうです。
――まだシミュレータしか乗っていない段階で比較は難しいとは思いますが、スーパーフォーミュラのSF23と比べてどのような違いを感じましたか?
平川:自分が乗った2021年のクルマは、現行車よりはまだ少し軽いですけど、それでもやはり結構重く、SF23と比べても重いので、機敏性に関してはやや劣りますが、やはりダウンフォースはかなり大きいですし、パワーが1000馬力あるのでストレートも加速も……ちょっとシミュレータでは加速感は分からないですけど、速かったですね。でも、思っていたよりも結構早くアジャストできたので、そこは自分としても驚いていて、全然乗れるなという感触です。(インタビュアー古賀敬介)
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このバルセロナテストのタイムは公表されていない。しかしそれはプロ同士の差として僅差といえる差だったのは間違いないようだ。予選後のインタビューでランド・ノリスが「日本からのプロジェクトがあることは知っているよ」と語っていたことからも、このシミュレータテストをノリスも見守っていたかもしれない。
10月にはそのバルセロナで実走テストを実施する予定となっている。WEC参戦との関係などを考えても、その先がどのような展開となるか読めないものの、2022年シーズンから今シーズンにかけて平川がWECで積んだ経験を考えれば、これが通用しない理由はない。スーパーフォーミュラと世界とのつながりを考えてもチャンスを次につなげてほしい。