アウディのモータースポーツ活動と市販車開発がごく近い関係にあることを示すエピソードがもうひとつある。現在、日本のスーパーGTなどに参戦しているGT3マシンのアウディR8 LMSは、アウディの子会社であるクワトロGmbHの手で開発されたものだが、実は市販車仕様のアウディR8も同じクワトロGmbHによって開発された。
それどころか、“ふたつのR8”を手がけた部署は隣り合うような関係にあり、それぞれの開発過程では様々なノウハウや情報が共有され、設計に反映されていったという。言い換えれば、市販車のR8はレースモデルの、そしてレースモデルのR8は市販車の遺伝子を受け継いでおり、このためR8 LMSはレースモデルにもかかわらず市販車並みの高い耐久性を備えると同時に、市販車のR8はレースモデル並みに高いパフォーマンスを手に入れることになった。

実際に最新のR8に一般道で試乗すると、おとなしく走っているときは乗り心地も快適で静粛性が高く、知的というか、知性に満ちたスポーツカーに感じられるのだが、ひとたびワインディングロードを攻めると、レースモデルに通ずる荒々しいまでのパフォーマンスを堪能できる。つまり、市販車とレースモデルというふたつの遺伝子を受け継いでいることは確かに実感できるのだ。
先ごろ、既存のアウディ正規代理店内にショップ・イン・ショップ形式でオープンしたアウディ・スポーツは全国24店舗で展開。モータースポーツ・イメージ溢れる店内に最新のR8やRSモデルなどを展示し、アウディのモータースポーツへの取り組みと市販車の開発の強い結びつきを感じることが出来る。
