更新日: 2017.07.06 13:48
「インディアナポリスは昔の鈴鹿130Rが4つあるような感覚」。佐藤琢磨と松田秀士が緊急対談
松田:そのあとインディアナポリス・モータースピードウェイに行くわけですが、インディを走ってどう思いましたか。
琢磨:インディアナポリスはオーバルという感覚じゃないような気がしました。ロードコースの、それこそ鈴鹿の昔の130Rが4つある、みたいな。これは『好きだな』と。オーバル独自の特殊なテクニックは、むしろいらないというか。インディ500のレースは2ワイド、3ワイドになって外から仕掛ける、というものでもない。
フォンタナ(よく混戦となるスーパースピードウェイ)のレースとかとは全然違うでしょう。逆に、僕としてはロードコースの感覚でいけるから、楽しめると同時に、パッケージさえ揃えばいけるだろうな、というのはずっと思っていました。
松田:僕が初めて走ったのは、テキサス・ワールドスピードウェイだった。今のテキサス・モータースピードウェイとは違って、ものすごく田舎の古いコースで、バンクが28度ぐらいついている。路面はガタガタで、トンネルを抜けるところがこんもりしている。
あそこに行った瞬間にマシンの底が当たって擦って、Gがあるから血液が下がって、目の前が真っ白になってしまう。それが初めての経験だった。『恐ろしい』と、まずそこで感じた。そんな経験をしてからインディへ行ったらもう、なんと走りやすいコースかと!
琢磨:そう! やっぱりスムースですよね。スムースだし、グリップ感がすごく高いし。確かに走りやすいですね。
松田:バンクがそれほどキツくないというのも大きいと思います。最初のオーバルを走ったときはまったく余裕がなくて、とにかく走ることで精一杯だった。91年ぐらいまでF3000に乗っていたから、富士(スピードウェイ)のストレートエンドがだいたい300㎞/h出るかどうか、という世界。実はね、その風圧がどんなもんだろうと、そこで手を挙げてみたことが何度かあるんですよ。
琢磨:ははは、ホントですか?
松田:それでインディに行った時に、370~380㎞/hだから、また『どんなもんだろう』と思って手を出してみたの。そしたら腕がもげそうになった。
琢磨:脱臼しますよ!
松田:それで『あ、これは大変だ』と思った。そういうの、試したことある?
琢磨:あります、あります。マシンのウインドシールドにタイヤかすが挟まっちゃったんです。それを取ろうとして、手を出した瞬間に、もう腕が後ろに持っていかれちゃって。『すごいな!』と思って、シールドによじ登るように手を這わせたら、なんとか取れたんです。
あと今回のインディ500では、レースの最中にミラーのステーに、紙が挟まったんです。それを取ろうと思って手を出したら、届かなかった。風で押し戻されちゃって。
松田:あはは、分かります。
琢磨:『うわー、どうしよう、でもヒラヒラして目につくな』と思っていたら、何かの拍子に飛んでいってくれたのでよかったですけど、手で取ろうと思っても“ブワ!”という感じで飛ばされて手が届かない。
松田:気になるよね。インディは人がいっぱい来るから、かなりの埃とか紙くずが舞うんだよね。あれが入るとペラペラするんだ。
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