更新日: 2023.10.11 18:57
年間最多タイ6度目ポール獲得のアシュリー・サットンが自身4度目のチャンピオンに/BTCC最終戦
迎えた決勝レース1は、オープニングラップの“ドルイド”でブッチャーのカローラをかわしたイングラムが2番手に浮上すると、そこから2台による熾烈な直接対決のマッチアップが続く展開に。しかし終盤には、前日の話題にも上がったドーブルのヴォクスホールがグラベルに沈み、ここでセーフティカー(SC)が発動する。
わずかなリードが水泡に帰したサットンは残り2周のスプリントを強いられると、振動を感じながらもなんとか逃げ切り今季11勝目を獲得。この瞬間、伝説のアンディ・ロウズや今季もライバルとして戦ったコリン・ターキントン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)に並ぶ、シリーズ“4冠”のドライバーとなった。
「本当にタフな展開になった。トムは最初のラップで頑張り背後に来たが、僕に対して正直でいてくれたのでフェアプレーだった。こちらもハードにプッシュしなければならなかったが、最後は左フロントにわずかな振動を感じたから、SCが出動したときは楽しめなかったね」とサットン。「でも僕らはここまで充分な努力をしてきたし、とても満足しているよ」
続くレース2も2度のSCが介入し、最後は1ラップのドラッグレースとなるも、イングラムを抑えてトップの栄誉を獲得した新王者が、アラン・メニュの持つシーズン最多記録に並ぶ12勝目を飾ることに。
そして年間のフィナーレとなるリバースグリッドのレース3では、前戦のエンジントラブルでタイトル戦線離脱を余儀なくされたジェイク・ヒル(レーザーツール・レーシング・ウィズ・MBモータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)が、首位バトルの隙に乗じて雪辱の逆転優勝を飾る結果に。
またダン・カミッシュ(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)の9位により、フォードがBMWを退けて今季のマニュファクチャラーズタイトルを決め、NAPAレーシングUK陣営がシリーズ3冠を獲得するエンディングとなった。
「明日は2日酔いで目が覚めてから、自分たちが何を達成したかを実感し始めるだろうし、来週はそれをじっくり味わうことになるだろうね」と、喜びを語った新チャンピオン。
「確かにそれはかなり現実離れしたことであり、僕にとって最大の栄誉は前輪駆動と後輪駆動の両方で、それを実現した最初のドライバーであることだ」とスバル・レヴォーグGTで初戴冠、そしてインフィティQ50BTCCで連覇と、ここまですべてFRモデルでタイトルを得てきたサットン。
「今年の戦績は今後も更新するのが難しい1年になるだろう。なぜなら息子が生まれた年だから。それは僕にとって最高の出来事だったし、それが僕のアプローチを変えたんだ。『もっと努力して、息子に父親を誇りに思ってもらいたい』ってね」
このタイトル獲得は、同時に終焉を迎えたモーターベース・パフォーマンスにとって初であり、フォードのドライバーとしては2000年のメニュ以来、マニュファクチャラーズでも、そのスーパーツーリング時代以来の記録となった。
「このフォーカスSTはかなり特別なクルマで、これに勝つのは難しいだろうね。将来、新しいクルマに乗り換えたとしても、それが今までのクルマと同じくらい良いものになるとは言い切れない。諦めるという意味ではないが、ここでやってきたことを打ち破るには、さらに深く掘り下げる必要があるだろう」