こうして始まった週末は、走り出しのウォームアップから地元ジョシュ・バカン(HMOカスタマー・レーシング/ヒョンデ・エラントラN TCR)が先行。続くFP1とFP2こそ世界戦レギュラーの意地を見せたテッド・ビョーク(リンク&コー・シアン・レーシング/リンク&コー03 TCR)がワン・ツー・スリー・フォー体制の先頭で連続首位タイムを記録する。
しかし予選開始と同時に雨粒が落ち始めた旧イースタンクリークは、トップチームがコースインした途端に豪雨へと変化。これによりリンク&コー陣営は満足なフライングラップも計測できず、マ・キンファ(リンク&コー・シアン・レーシング/リンク&コー03 TCR)を除いて全車がQ1敗退を喫してしまう。
同じくジロラミのシビックも12番手でポールポジション決定戦への進出が絶たれるなか、直後に雨は止みQ2開始以降みるみる路面状況が改善していく。そのスイートスポットを捉えたのは地元の古豪ギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)所属のベン・バルグワナ(プジョー308 TCR)で、2番手ブラウンをコンマ8秒、ミケル・アズコナ(BRCヒョンデN スクアドラ・コルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR/ヒョンデ・エラントラN TCR)を2列目3番手、そしてこちらも地元勢のベイリー・スウィーニー(HMOカスタマー・レーシング/ヒョンデi30 N TCR)をも4番手に退け、本人さえ「衝撃的」な予選最前列を手にした。
そのまま迎えた土曜レース1でも天候による悪条件は続き、ポールシッターはスタートで敢えなく後退すると、続くラップではザック・ソーター(チーム・ソーター・モータースポーツ/アウディRS3 LMS 2)がダメージを負い、セーフティカー(SC)が導入される。
さらにサンティアゴ・ウルティア(リンク&コー・シアン・レーシング/リンク&コー03 TCR)はジロラミのシビックと接触してサスペンション損傷でピットへ。同じく新型シビックとの初陣だったダルベルトは、ターン1でミケリスにヒットされ高速スピンオフを喫してしまう。
波乱はさらに続き、リスタート直後には24台が参戦したグリッドの大多数がターン2でトラックを離れグリーンを滑走、これでアズコナ、マ・キンファの先頭争いに変わるも、ここで全車ウエットタイヤ装着勧告のため赤旗中断となる。
レース再開は前周回のポジションが適用されたことで、ブラウンがトップランを取り戻すと、SCが消灯した後も「ウィービングを繰り返した」として、最後は3位チェッカーを受けた13番手発進のヤン・エルラシェール(リンク&コー・シアン・レーシング/リンク&コー03 TCR)に、レース後5秒加算のペナルティが課される。
さらに2位フィニッシュだったアズコナも、SCピリオドでのウィービングが検証となり、同じく5秒加算で3位に転落。最終的にいずれの波乱も寄せ付けなかったブラウンが初の世界戦をデビューウインで飾り、2位にマ・キンファが続くリザルトとなった。


