「僕もプロのツーリングカー乗りとしてここに20年ほどいるが、このレースでサンティアゴ(・ウルティア)がやったことほど汚いことは見たことがない」と、専門サイト『TouringCarTimes.com』の取材に対し怒りを露わにしたハフ。
「首位のフレッド(バービッシュ)は、僕が追いつくためにスピードを落としてくれたことは確かだ。でもドナ・マリアの出口で彼は完全にブレーキを踏んだ。アクセル全開の場所だし、まったく予想していなかったから当然ぶつかってフロントを破損した」と確実に“意図的なブレーキテスト”だったと主張するハフ。
「彼はここマカオで3周にわたる大規模な決勝戦を台無しにした。誰もが大いに楽しめる可能性があったが、それが最大の損失だと思う。時間を掛けてここに来てくれたファンからその価値を奪い、お金を使い、家族を連れて出掛けてくれた皆の気持ちをフイにし、最大のライバルであるヒョンデにチャンピオンシップを譲った。僕らは適切な決勝に値するドライブをしたが、残念ながら今日はひとりのドライバーがそれを阻止した」
一方、そのウルティアも異なる見解を示し、批判には当たらないとする態度を見せた。
「インシデントに関しては、うまく抜け出すためヘアピンでさらに少しスピードを落としただけさ。前にバービッシュがいたから全開にもできなかったし、そこで後ろからハフにヒットされたんだ」
勝者バービッシュに続き、2位でフィニッシュしたウルティアの背後には、僚友と順位を入れ換えても「タイトルには届かない」とポジションを守ったエルラシェールが続き、さらに後方でアズコナ、ブティを従えて8位でチェッカーを受けたミケリスが、ふたたびツーリングカーの世界戦で頂点の座に戻ってきた。
「ここはマカオだ。僕らはこれまで多くのことが起こり得るのを見てきたが、前日は本当に素晴らしい展開で、ちょっと夢のようだった」と週末を振り返ったTCRワールドツアー初代チャンピオンのミケリス。
「最終日はほぼすべてのシナリオを紙の上で用意していたが、細部に対して完全に準備ができていたわけではないし、レース中はトラブルだけは避けたかった。完走できないことだけは避けたかったんだ」
「マカオは僕にとって特別な場所で、2010年にここで初めて世界ツーリングカー選手権のレースで優勝し、お気に入りの場所のひとつになった。そして今、レースに勝つだけでなく、ここでチャンピオンシップを獲得することは本当に特別なことだと感じているよ」


