今年のチャンピオンシップを予想するために、まずは昨シーズンのアレックス・パロウとチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)の強さを振り返りたい。
スペイン出身ドライバーはキャリア二度目となるシリーズタイトルを、5勝とともに獲得した(一度目のチャンピオン獲得は2021年)。シーズン初勝利を第5戦インディアナポリスのロードコースで記録した彼は、インディ500の翌週の、2023年からダウンタウンでの開催となった第7戦デトロイト、続く第8戦ロードアメリカ、第9戦ミドオハイオで3連勝。シーズン終盤の第16戦ポートランドで5勝目をマークし、ダメを押してタイトルを得た。
パロウとCGRの凄さは、17戦を通して高く保たれた戦闘力にあった。リタイアなしは当然、全レースでトップ10入り(最下位は2回の8位)で、トップ3入りは10回を数える。

そして、ランキング2位はチームメイトのスコット・ディクソン。7度目のタイトル獲得を目指した大ベテランは、シーズン終盤に第14戦インディアナポリスのロードコース、セントルイス郊外のショートオーバルで行われた第15戦ワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイ、そして最終戦ラグナセカで優勝したが、惜しくも目標には届かなかった。
2023年のシリーズ1、2位を独占したCGR、今年も彼らはもちろん強いだろう。昨シーズンに在籍したマーカス・エリクソンはアンドレッティ・グローバルに移籍したが、その代わりに彼らはマーカス・アームストロングをフルシーズン参戦へ格上げし、さらに2022年インディライツ王者のリヌス・ルンドクヴィストと2022年から同チームの育成ドライバーであるキッフィン・シンプソンをレギュラーとして走らせるという、シリーズ最大の5台体制を築き上げた。
5台から収集できるデータの豊富さは、彼らにとって大きなアドバンテージとなるだろう。パロウがタイトル防衛を実現する可能性は十分。ディクソンはシーズン序盤から勝利を挙げ、ポイント争いをリードして行く戦いができれば、史上最多タイの7度目のチャンピオンシップも見えてくるはずだ。

■チップ・ガナッシVSペンスキーは白熱必至
CGRに立ち向かう筆頭はチーム・ペンスキーだろう。まず、昨年チーム内トップのランキング3位となったスコット・マクラフランが、さらに力を伸ばしてチャンピオン争いに絡んでくる可能性が大いにある。
もちろん、念願のインディアナポリス500マイルレース(インディ500)優勝を果たしたジョセフ・ニューガーデンもタイトル候補だ。得意とするショートオーバルが倍増の6戦になったこと、しかもそのうちの3戦がシーズン最終版の連戦としてスケジュールされていることは、彼にとって大きなプラスとなりそうだ。
ペンスキーではパワーも要注目。2022年の彼のタイトルの獲り方は素晴らしいものだった。開幕5戦でトップ4フィニッシュを続け、優勝はデトロイトでの1回だけながら、7回のトップ3フィニッシュを重ねてキャリア二度目のタイトルを手に入れた。圧倒的パフォーマンスで勝ちまくるのが彼の魅力だったが、今年もベテランらしい戦い方でタイトルを狙ってくる。
