CGRとペンスキーは二強。ライバル勢より一段上にあるが、彼らに先頭を切って挑むのは、アロウ・マクラーレンのパト・オワードだ。昨シーズンはチームの戦闘力が伸び悩んだこともあって勝利がなかったが、しぶとくランキング4位につけた。勝てる力はすでに証明済みで、F1で走る機会を与えられてドライバーとしての力をさらに伸ばしている。チームメイトのアレクサンダー・ロッシ、デイビッド・マルーカス(怪我のためシーズン序盤はカラム・アイロットが代わりにドライブ予定)の力も借りてチームのレベルアップを果たせば、王座獲得も遠くない。
次に注目したいのは、アンドレッティ・グローバル・W/カーブ・アガジャニアンのコルトン・ハータ。昨シーズンはアップ&ダウンが激しく、1回の3位がベストリザルトと不本意な成績となったが、才能、実力ともにトップレベルにあることは間違いない。今年こそタイトル争いに加わり、それを制したいところだ。アンドレッティの3台体制への縮小は、各エントリーに注ぎ込む力を増大させる効果が期待されている。チームメイトも、カイル・カークウッドとエリクソンと実力者揃いだ。


昨シーズンに初勝利をあげたレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのクリスチャン・ルンガーは、さらにレベルアップしてランキング上位で戦いながら複数勝利を……という可能性も十分にある。佐藤琢磨をインディ500にスポット参戦させることもあり、スーパースピードウェイ用のマシン作りでも実力アップが期待できる体制だ。
また今シーズンは移籍したドライバーも多く、フェリックス・ローゼンクヴィストはマクラーレンからメイヤー・シャンク・レーシングに、ロマン・グロージャンはアンドレッティからフンコス・ホーリンガー・レーシングに移った。スティング・レイ・ロブは、AJ・フォイト・レーシングでインディカー2シーズン目を戦う。
さらに今年はルーキーも多く参戦する予定だ。前述のガナッシ勢からは、ルンドクヴィストとシンプソン、エド・カーペンター・レーシングからは2023年インディNXTチャンピオンのクリスチャン・ラスムッセンがロード&ストリートレースに出場する。


また、スポーツカーカテゴリーから鞍替えとなるトム・ブロンクビストとコリン・ブラウンが抜擢され、ブロンクビストはスポーツカー時代と同じメイヤー・シャンク・レーシングからフルエントリーを果たす。ブラウンは、デイル・コイン・レーシングから数戦に出場し、インディNXTと掛け持ちとなるノーラン・シーゲルもDCRからインディ500を含む何戦かに出場予定である。
異例のシーズンを迎えることとなる2024年のインディカー・シリーズ。迫る開幕戦セント・ピーターズバーグは、二強CGRとペンスキーの争いとなるのか、シーズンオフに脱皮を終えた他チームの快走が見られるのか。シーズン前半の流れが垣間見えるかもしれない一戦は、3月9~10日に開催される。
