更新日: 2024.05.02 17:09
元王者イングラムが逆襲の連勝発進、トヨタのモファットもリバースから開幕勝利/BTCC開幕戦
その後、なんとかダンプコンディションまで回復したところでようやくスタートが切られると、2列目からトラクションに優れるFR勢のBMW艦隊、ターキントンとヒルがフロントロウ2番手の王者サットンを飲み込んでいく。
しかし現役王者の意地を見せたサットンは、直後のマクリーンズでターキントンを刺し返して表彰台圏内に復帰すると、首位を守っていたFFヒョンデをドライブするイングラムは、サム・オズボーン(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)のクラッシュにより複数周に渡ってセーフティカーが出動しても集中力を乱さず。リズムを維持してリスタートを決め、盤石のライト・トゥ・フラッグを達成してみせた。
続く15時50分開始のレース2でも、終盤にタイヤ摩耗が顕在化したFR勢の苦心を突き、18周のうち残り4周の段階で勝負に出たイングラムが、下りのクレナー・カーブでヒルのインサイドを突き首位浮上に成功。直後のオールドヘアピンでは王者サットンもBMWを抜き去り、勝者以外のふたりがポジションを入れ替えての連続表彰台となった。
現地18時を過ぎて開始された最終レース3では、この日曜を最後尾発進から12位、9位とポジションを挽回してきたハフが主役のひとりを演じることに。リバースグリッドの恩恵とFRの利点を活かし、スタート直後こそモーガンのBMWが先頭を走ったものの、SC明けのブレーキングでロックアップを喫して後退。すぐさまハフがリードを取り戻す。
しかし、その背後に迫ったのがスピードワークス・モータースポーツ(SWM)の仲間でもあるモファットで、バックストレートで元世界王者に照準を合わせたサテライトのカローラは、すぐさまコピスで勝負を仕掛けて予想外のオーバーテイクに成功する。
ここからタイヤ摩耗に苦しんだハフに代わり、ターキントンとサットンの“4冠コンビ”がイエロー&グレーのカローラを追走したものの、背後の2台よりハイブリッドの出力に勝るモファットが毅然とした態度でディフェンスを見せ、2021年以来となる移籍後初勝利を手にしてみせた。
「最初のレースではグリッド最後尾からスタートしたが、それは僕らのクルマのペースのせいでなく、新しい予選ルールが僕らに大きなペナルティを与えただけだった」と振り返った勝者モファット。
「週末を通じてクルマの感触は素晴らしかったけど、この週末は勝利のことは気にせず、表彰台を争うだけでも素晴らしいことだったはずだ。ここ数シーズンは僕にとって厳しいシーズンだったし、今季はふたたび自分のペースを見せて勝つことが重要だった。最初の週末にそれを達成できたのは非常に意味があることさ!」
これで連勝発進を決めたイングラムが選手権の暫定首位に立ち、3戦連続表彰台のサットンが追随するという、激戦を予感させる構図となった2024年のBTCCシーズン。続く第2戦は5月11~12日にブランズハッチで開催される。