今年のグランプリ・オブ・ロングビーチは珍しく涼しいコンディションでの戦いになっていた。予選4位だったヒンチクリフはユーズド・レッドでスタートして2番手まで1周目に浮上し、燃費セーブに努めながらもブラックタイヤでのセカンドスティントで安定したペースを維持。最終スティントには新品のレッドを投入し、スピードを見せつけて勝利を掴んだ。
最後のリスタートは残り3周で切られたが、ここでもヒンチクリフはまったく動揺することなどなく、ロングビーチで3勝し、自分と同じ新品のレッドを履いているベテランのブルデー相手に見事なスタートダッシュを決め、2015年のニューオリンズ以来となる優勝のチェッカードフラッグを潜った。

開幕戦9位だった彼はポイントスタンディング2位となった。1秒4940秒差で2位となったブルデーは、開幕戦優勝、第2戦2位でもちろんポイントリーダーの座を守った。
「またビクトリーレーンに立つことができて嬉しい。ケガからカムバックした昨シーズンにも何度か勝てそうなレースがあったが、惜しくも届かなかった。今日のマシンはとても速く、クルーたちのピットストップが素晴らしかったからトップに立てた」とヒンチクリフは感激に浸っていた。
4位はディクソンで、5位には最後尾スタートだったシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)が入った。さすがのしぶとさで彼はポイント3位につけている。
佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)は18位。スタート直後の混乱時にフロント翼端板にダメージを受けたためにピットイン。トータル4回のピットストップで戦った彼にレース展開は一切味方しなかった。

それでも粘りの走りで終盤にはトップ10が狙える位置まで浮上。リスタートでトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)をパスしたが、エンジンが78周目に突然ストップしてリタイアとなった。
「長く厳しい1日になっていましたね。レースの展開を見てピットの回数は臨機応変に決めようと考えていたんですが、僕らは3ストップでいくことにしました。各スティントにタイヤがマッチしていなかった感じもありましたね」
「ファイナルプラクティスでのマシンがとても良かっただけに、レースをゴールまで走り切れなかったのは残念。今日の涼しかったコンディションのせいなのか、レースでのマシンがファイナルプラクティスの時のような良さを感じられなかった点も残念でした」と琢磨は悔しがっていた。アンドレッティ・オートスポートにとっては4台全員がリタイアするとても厳しいレースとなった。