更新日: 2024.05.23 16:16
バリチェロの愛息“ドゥドゥ”がスプリント制覇。ポール発進ダニエル・セラは悲運に沈む/SCB第4戦
迎えた新フォーマットの30分スプリントでは、予選タイム上位12名を対象とした“インバーテッド”グリッドルールにより、リカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)と、こちらも“3冠”ドライバーのリカルド・マウリシオ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)が並ぶ強力なフロントロウに。
しかしスタート直後から輝きを放ったのは3番手発進だった“ドゥドゥ”で、91号車のカローラは最初の周回で前方のビッグネームふたりを出し抜くと、ピットストップでもチームの迅速な作業速度に支えられ快走。ちょうど10年ほど前の2013年に父ルーベンスがSCB初勝利を飾った地で、ファミリーの長男である22歳がふたたび表彰台の頂点に上り詰めた。
「昨日のフリー走行では厳しいスタートになったが、今日はとても良いクルマに恵まれた。最近までゲームのなかで見ていたふたりの英雄を相手に、勝負ができたことは素晴らしい経験だったよ」とセーフティカー(SC)明けのリスタートでも堂々の逃げを打ったドゥドゥ。
「個人的にも、一旦落ち着いて『なぜこれが起こったのか』を理解する必要があるくらい、今はまるで勝った実感が湧かない。多くの人々、とくに非常に良いピットストップをしてくれたメカニックに感謝しなければならないし、これはメンバー全員の勝利だよ」
日曜50分間の決勝も、ポールシッターのセラが危なげなくホールショットを奪ったが、その背後では4台中3台が大破してそのまま戦列を去るアクシデントが発生し、いきなり連日のセーフティカーが発動する。
ここから義務ピットを引っ張った首位のセラと2番手バプティスタに対し、別の戦略として早めの動きを見せたエンツォ・エリアス(クラウン・レーシング/トヨタ・カローラ)と開幕スプリント覇者のラファエル鈴木(TMGレーシング/シボレー・クルーズ)が続く展開となる。
しかしここで、正確無比かつ堅実なドライブで勝利を決定づけたかに見えたセラに悲劇が訪れ、シボレー・クルーズの29号車は「驚いたことにトランスミッションのシャフトが折れた」ことでフィニッシュ目前にストップ。
43周のファイナルラップで先頭に立ったバプティスタがSCB通算5勝目を飾り、2位に自身2回目の表彰台となるエリアスと、続く3位にラファエル鈴木が入り、この表彰台によりTCRでも活躍を演じる鈴木は、今季3度目のポディウムを確定しただけでなくチャンピオンシップでも首位に立った。
「残念ながらモータースポーツではよくあることだが、ダニエル(・セラ)の故障は本当に気の毒だった。でも僕自身のドライブにはとても満足している」と勝利の重要性を強調したサンパウロ出身の27歳。
「週末を通してペースはとても強かったし、クルマも非常に良かった。だからこそダニエルに対して101%で挑めたんだ。その価値はあったし、こうして勝利を確実にし、チャンピオンシップに挑む自信も得られたよ」
続くSCB第5戦は、サンパウロの内陸部モジ・グァスーに位置するアウトドローモ・ヴェロチッタで6月28〜30日の週末に争われる。